2022 Fiscal Year Research-status Report
重度変形性膝関節症におけるlateral thrust発生メカニズムの解明
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20K11261
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Research Institution | Tsukuba International University |
Principal Investigator |
深谷 隆史 つくば国際大学, 医療保健学部, 教授(移行) (20515580)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中島 修一 茨城県立医療大学, 保健医療学部, 助教 (00735061)
六崎 裕高 茨城県立医療大学, 保健医療学部, 教授 (50550927)
森 浩一 茨城県立医療大学, 保健医療学部, 教授 (90274977)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 重度変形性膝関節症 / 歩行 / 有限要素解析 / 筋骨格モデル |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度は健常者を対象として、歩行立脚期における前額面の膝関節角度を変化させることにより筋骨格モデルのシミュレーションソフト(AnyBody)を用いて解析を行ってきたが、本年度は以前より蓄積された症例データの解析を中心に行った。具体的には、重度変形性膝関節症と診断された症例の歩行解析の結果から、歩行立脚初期に見受けられる膝関節の横ぶれ(varus thrust)を前額面における内反方向への膝関節角度変化として算出、比較的その特徴が顕著に現れている症例を数名抽出した。歩行解析の結果から抽出された症例のデータを、筋骨格モデルのシミュレーションソフト(AnyBody)を用いて解析を加えた。その際、症例が歩行立脚初期に呈している膝関節内反角度に関節角度を設定し、膝関節周囲を取り巻く大腿四頭筋(内側広筋、外側広筋、中間広筋、大腿直筋)、大腿二頭筋、半腱様筋等の筋出力の推定値を算出した。実際に行った歩行解析の結果から、歩行立脚初期の床反力の値、膝関節の角度を算出し、さらに筋骨格モデルのシミュレーションソフトから得られた筋出力の推定値を用いて有限要素解析を進めるよう試みた。有限要素解析に先立ち、症例から得られた膝関節のCT画像データより、重度変形性膝関節症における膝関節モデルを作成した。その後、その作成された膝関節モデルに対して、関節角度の設定、床反力や推定された筋出力値を入力することにより膝関節の横方向への応力を求めることを進めている。現在は、膝関節に対して横方向の剪断力が何によって生じているのか、それをどのようにモデルに組み込むかなどいくつかの課題はあるが、今後は、重度変形性膝関節症の病期進行に伴うvarus thrust発生メカニズムや病態解明を行えるように課題を遂行していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度までは新型コロナウイルス感染症の影響もあり、当初予定していた症例数までは届いておらず、本研究グループによるミーティングも十分に行えなかったこともあった。しかしながら本年度は、以前より蓄積された重度変形性膝関節症の症例に対するデータ解析を進めることにより、本研究課題の主軸を成す有限要素解析を実施するまで課題を遂行することが可能となった。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の研究計画からは大きな変更はないが、重度変形性膝関節症のデータ解析における症例数は計画当初より少なくなる見通しである。しかしながら、重度変形性膝関節症の症例データを解析する上で特に問題になることはない。以前より蓄積された症例のデータから解析を進め、現在は有限要素解析を遂行していく段階に入っており、膝関節モデルの妥当性、横方向の剪断力が何によって生じているのか、それをどのようにモデルに組み込むか、などいくつかの課題はあるが、本研究グループでミーティングを重ねながら課題解決を図り、本研究の目的である、膝関節面の剪断応力分布を解析し、膝OAの病期進行に伴うvarus thrustの特性を把握し、重度変形性膝関節症の病期進行に伴うvarus thrust発生メカニズムや病態解明に繋げていけるよう研究課題を進めて行く。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた大きな理由は新型コロナウイルス感染症に伴う、国内外への学会発表による出張旅費が生じなかったことが挙げられる。
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