2022 Fiscal Year Research-status Report
低出力パルス波超音波を用いた認知症リハビリテーション効果の神経科学的アプローチ
Project/Area Number |
20K11262
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Research Institution | Dokkyo Medical University |
Principal Investigator |
橘 篤導 獨協医科大学, 医学部, 助教 (80409995)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田口 大輔 帝京大学, 医療技術学部, 准教授 (00390112)
辰元 宗人 獨協医科大学, 医学部, 教授 (30296157)
入江 駿 獨協医科大学, 医学部, 助教 (60918887)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | fNIRS / 認知症 / リハビリテーション / 低出力パルス波超音波 / 脳機能イメージング / スクリーニング |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、脳への低出力パルス超音波の刺激が、マウスのアルツハイマー型認知症モデルにおいて認知機能低下を抑制する可能性があるという他機関の先行研究 に基づいている。ヒトに対し、このような低出力パルスの超音波による低侵襲的治療法の効果について、本研究では、認知症における新たな治療手段としての有 用性を、従来の被験者主観性に基づいた心理学的評価のみならず、先端的な脳機能イメージング法(近赤外線分光法;fNIRS)を用い客観性に基づいた神経科学的に 評価することで、新しいリハビリ法を確立して認知症患者の「生活の質(QOL)」の向上を目指し、幅広く社会に貢献することを目的とする。初年度では、脳への低出力パルス超音波刺激における認知症改善プロジェクトの先行研究グループ傘下に加わり共同研究体制を立ち上げ、本研究計画を獨協医科大学生命倫理委員会 に申請し、承認後にプロジェクトを開始する予定であったが、新型コロナウィルスの影響で先行研究グループの進捗が遅れをとることとなった。翌年度では、この遅れを埋め合わせするために携帯型fNIRSを用いた認知症患者の神経科学的評価を検討する目的で獨協医科大学病院の臨床研究審査委員会に独自で 遂行する研究計画を申請し、承認を受け、研究体制を整えることとした。承認後は、獨協医科大学病院の臨床医の協力を得るとともに、実験・解析に長けた研究分担者を増員し、携帯型のfNIRSを用いてまずは認知症患者のコントロールとなる健常被験者の基本的な脳機能データを収集することで先行実験に取り組んだ。翌々年度は対象健常被験者のデータを元に認知症被験者の脳機能データを収集し、両群間の比較解析に着手した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
初年度の2020年度では、先行研究グループ傘下に加わり共同研究体制を立ち上げる予定であったが、新型コロナウィルスの影響で先行研究グループの進捗が遅れをとることとなったため、本グループではこれを埋め合わせするために携帯型fNIRSを用いた認知症患者の神経科学的評価を検討する目的で研究体制を整え直すこととした。2021年度以降では、獨協医科大学病院の臨床医の協力を得るとともに、実験・解析に長けた研究分担者を増員し、携帯型のfNIRSを用いてまずは認知症患者のコントロールとなる健常被験者の基本的な脳機能データを収集することで先行実験に取り組んだ。2022年度においては対象健常被験者のデータを元に認知症被験者の脳機能データを収集し、両群間の比較解析に着手した。また 実験手法や得られたデータの解析に長けた研究分担者を増員したことで、実験や解析における正確性や信頼性が増し、第128回日本解剖学会総会・全国学術集会にて症例報告を発表した。
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナウィルスの影響により当初見込んだ被験者数が獲得できなかったため、研究期間の最終年度であった2022年度において充分な成果が得られなかったので研究期間の延長申請を行い2023年度中に成果をまとめることにした。現在獨協医科大学病院の臨床研究審査委員会に研究期間の延長申請を済ませているため、承認が得られ次第、認知症被験者を募りデータ収集を行う。これらのデータ収集には獨協医科大学脳神経内科と介護老人保健施設こすもぴあの全面的な協力を仰ぐこととする。これにより取得されたデータは、2022年度に第128回日本解剖学会総会・全国学術集会にて報告した症例報告のデータに補足し、健常被験者群と認知症被験者群とのfNIRSデータにおける比較解析を行い、論文や学会発表などでより客観的な成果が報告できる状況に展開させていくことを企画している。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルスの影響で研究の進捗が遅れるとともに計画の変更も必要となった。そのため、研究期間を1年延長したことが、次年度使用額が生じた理由となる。次年度には、主に、補充すべき被験者に支払う実験参加の謝金や移動に必要な交通費、学会発表および論文投稿などに費用が生じる予定である。
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