2022 Fiscal Year Annual Research Report
感情と運動機能の相互作用を反映する高齢者運転能力評価システムの開発
Project/Area Number |
20K11279
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
李 範爽 群馬大学, 大学院保健学研究科, 教授 (50455953)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
和田 直樹 群馬大学, 大学院医学系研究科, 教授 (40306204)
小田垣 雅人 前橋工科大学, 工学部, 准教授 (40453211)
伊部 洋子 群馬大学, 医学部附属病院, 助教 (70431723)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 電子版 / Trail Making Test / 視覚探索 / 後退駐車 |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度の目標は、驚愕刺激が電子版視覚探索計測Trail Making Test(電子版TMT)遂行に及ぼす影響を明らかにすること、また高齢者における実車運転中の視覚探索行動特性を明らかにすることであった。 驚愕刺激が電子版TMT遂行に及ぼす影響を検討するために、若年者と高齢者を対象にした実験を行った。高齢者は高齢者講習を受講するため自動車教習所を来所した健康高齢者17名であった。課題は「TMT-A/B、驚愕刺激-あり/なし」の4条件であった。その結果、驚愕刺激によって年齢群に関わらず軽度な負の感情を誘発すること、「追視」「固視」「目と手の協調」の3指標すべてにおいて高齢者が若年者よりも有意に延長し、年齢による主効果が確認された。固視及び目と手の協調においては、驚愕刺激有無と驚愕刺激前後の間で交互作用も確認された。しかし、驚愕刺激の有無は必ずしも上記3指標へ有意に影響を与えるとは限らないことが明らかになった。その理由として、今回の刺激が比較的軽微な自損事故を示す画像であり、感情変化を引き起こすに不十分であった可能性がある。今後、刺激強度や他の感覚モダリティとの同時計測などを通して、驚愕刺激の大きさを検討する必要がある。 また、高齢者における実車運転中の視覚探索行動特性を明らかにするために、上記高齢者を対象に教習所コース走行中の視覚探索行動を記録した。その結果、既存の視覚認知モデルでは説明困難な身体周辺空間拡張能力を示唆する視覚探索行動を発見した。具体的には、サイドミラー内の歩車道境界隅角部縁石に留まる一群の注視点、サイドミラーと地面を往復する注視軌跡、サイドミラー内で自車と障害物を往復する注視軌跡であった。また、その結果を教習所指導員と比較した所、後退駐車の一部プロセスにおいて両群間で異なる結果が得られた。今後、高齢者の運転能力を評価する指標としての有用性が期待された。
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