2020 Fiscal Year Research-status Report
頭頸部の慢性疼痛の誘発因子に対する運動療法技術の開発
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20K11289
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Research Institution | Bunkyo Gakuin University |
Principal Investigator |
上田 泰久 文京学院大学, 保健医療技術学部, 准教授 (10458549)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 頭頸部 / 疼痛 / 運動解析 / 動態解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
頭頸部は慢性疼痛が起こりやすい部位であるが、この領域に関する臨床的な研究は少ない。デスクワークなどの座位姿勢では、頭頸部には常に屈曲モーメントが生じるため後頸部の筋は働き続ける必要がある。またモニターを見るなどの頭頸部の反復運動により、頭頸部には累積負荷が加わりやすい。さらに後頸部の筋の持続収縮により、後頸部の筋の虚血や筋間を走行する末梢神経は滑走障害が生じやすい。これらは組織に侵害刺激を与え続けるため、疼痛の誘発因子となり、慢性疼痛へ移行させると考えられる。これまでの臨床経験および先行研究から頭頸部に疼痛を有する症例では、頭頸部の運動に伴って上半身質量中心位置(第7-9胸椎高位)を適切に動かせないこと、頭頸部の運動に伴って後頸部の軟部組織を適切に動かせないことが分かっている。これらは疼痛の誘発因子と考えられるが詳細な検証まではできていない。そこで本研究では、以下の3点を目的として研究を実施する予定である。まずデスクワークなどの座位姿勢における頭頸部の運動に着目し、頭頸部の運動と隣接部位との関係について、脊柱計測分析器(スパイナルマウス)・三次元動作解析装置(VICON)を用いて運動学および運動力学的データを収集して検証する。さらに後頸部を走行する末梢神経と周辺の軟部組織の動態について、超音波診断装置を用いて定性的・定量的データを収集して検証する。最後に臨床に還元する知識・技術をまとめて、疼痛へ繋がる誘発因子に対する予防的な「患者教育」および治療的な「運動療法」を開発する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度は新型コロナウイルスの感染拡大の影響もあり、新たに計測を実施することができなかった。そのため既に測定していた超音波診断装置を用いた画像から、末梢神経と軟部組織の動態について定性的な検討を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナウイルスの感染予防対策を実施した上で、倫理審査の承認後に新たに計測を実施予定である。今後の研究推進方策としては、座位姿勢における頭頸部の運動と隣接部位との検討を運動学および運動力学的データを収集できる計測機器を用いて実施予定である。また頭頸部の軟部組織の動態評価に関しては、動態を評価するソフトおよび周辺機器を準備しており、定性的・定量的な測定を実施できる状態である。データ収集後は学会発表と学術論文への投稿を予定している。
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Causes of Carryover |
2020年度は、超音波診断装置における画像の動態解析ソフトを計上していた。こちらは概ね申請した予算額で購入できた。しかし旅費・被験者の謝礼に関しては、新型コロナウイルスの影響で新たな計測を実施できず、次年度に持ち越しの予定である。2021年度は、感染予防対策の消耗品購入および圧センサーの購入を計画している。
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