2020 Fiscal Year Research-status Report
脳損傷後の運動機能の回復を目指す運動療法の作用機序の解明
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20K11292
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
吉川 輝 昭和大学, 医学部, 助教 (90737355)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北井 仁美 昭和大学, 保健医療学部, 講師 (60850071)
田代 尚範 昭和大学, 保健医療学部, 講師 (70645100)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 脳損傷 / 動作分析 / 運動 / 運動機能回復 / 皮質脊髄路 / 代謝 / 遺伝子 |
Outline of Annual Research Achievements |
リハビリテーションの一つである運動療法は脳損傷後の運動機能の回復を目的として行われる。運動療法は、脳損傷により破綻した脳から骨格筋の間の神経ネットワークを再構築すると考えられている。しかしながら、運動療法が運動機能の改善をもたらす分子機構は十分に理解されていない。当該研究は、脳損傷後の運動と運動機能の回復の作用機序を分子機構の観点から解明することを目的とし、運動による運動機能の回復と神経ネットワークの修飾の連関性、そして運動により特異的に分泌される因子と運動機能の回復の関連性についてモデル動物を用いて検証する。そして、これらモデル動物での検証結果をヒト脳梗塞患者を対象に運動機能を評価し、基礎と臨床との事象の相互性も検証する。 一側脳損傷モデルマウスに対して運動としてトレッドミル走行課題を実施した。一定期間の運動後、歩行の様子をモーションキャプチャ技術を用いて3次元的に前後肢の動きを運動学的に解析した。その結果、麻痺側の足関節の動きが脳損傷により障害されていたが、運動を行うことにより回復することが分かった。この足関節の動きに関わる筋に対して、筋を構成するタンパク質を定量的に評価した。その結果、筋タンパク質の構成要素の量的違いは変化しないことが分かった。そこで、この筋と脊髄からの末梢神経の関連性について評価することを目的に、末梢神経刺激による筋電図評価を検討し、その方法を確立した。この方法をもとに、次年度以降に脳損傷後の末梢神経とその効果器である筋の機能的連関について明らかにしていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
脳損傷モデル動物に対して運動の有無による運動機能の回復を評価した。運動課題はトレッドミル走行とし、走行課題に対する運動強度の量的評価は、酸素摂取、二酸化炭素排出を指標とした代謝測定を用いた。その結果、脳損傷後の運動の有無によって歩行運動中の運動機能の変化を3次元動作分析によって定量的に明らかとなった。本結果で明らかとなった行動学的な側面に対して、筋収縮などの生理学的機能、筋収縮を司る神経の構造などの組織学的現象の特徴を今後、明らかにしていく。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は、行動学的な評価で明らかとなって現象に対して、筋の組織学的変化、生理学的変化に加え生化学的な変化を捉えていく予定である。
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Causes of Carryover |
当該年度は、主に行動学的検証を実施したため、組織学的検証と生理学的検証の際に使用する試薬等の購入が予定より少なくなった。また、学会が中止、もしくはweb開催となったため旅費等に関わる支出も予定より減少したため、残金が発生した。 次年度は、当該年度で得られた結果をもとに生理学的な現象と組織学的な現象に対する検証を行う。そのため、動物の購入や動物飼育に関する物品、生理学的および組織学的研究に必要な試薬、さらに分子生物学的研究に必要な試薬や備品等を購入し研究を推進する予定である。これらの研究で得られた結果を学会および論文で発表する予定であり、これらに関する費用にも本研究費を使用する。
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Research Products
(23 results)