2022 Fiscal Year Research-status Report
悪液質に由来する骨格筋機能低下の病態制御を基盤とした新規予防・治療戦略の開発
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20K11296
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Research Institution | Nihon Fukushi University |
Principal Investigator |
岩田 全広 日本福祉大学, 健康科学部, 教授 (60448264)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 悪液質(カヘキシー) / 骨格筋機能低下 / 骨格筋萎縮 / 骨格筋肥大 / 温熱刺激 / ビタミンD / グルココルチコイド受容体 / 核移行 |
Outline of Annual Research Achievements |
癌,心血管疾患,糖尿病および慢性呼吸器疾患などの悪液質に由来する骨格筋機能低下の予防・治療には,身体運動が有効であることは間違いない。しかし,臨床で遭遇する慢性疾患患者の中には,原疾患そのものの特異的な病態や二次的な廃用症候群,疾病の急性期や心循環器系の疾患を合併しているなどの理由で,積極的な身体運動を伴う運動療法を実施することが困難なケースも多く存在し,その代償となる治療法の早期開発が急務となっている。 本研究課題では,温熱刺激またはビタミンD投与が悪液質により惹起される代謝異常とそれに伴う骨格筋萎縮の進行過程に及ぼす影響と,その作用機序の解明を行うことを目的としている。 2022年度は,エンドトキシンおよび癌性悪液質の病因として重要な役割を果たすグルココルチコイド(副腎皮質ホルモン)の投与によって萎縮が生じるC2C12筋管細胞を用いて,温熱刺激またはビタミンD投与が悪液質に伴う骨格筋萎縮の進行過程に及ぼす影響とその作用機序について検討した。その結果,(1)温熱刺激を行うと,グルココルチコイド受容体およびフォークヘッド型の転写因子(FoxO1,FoxO3a)の核移行は阻害され,筋萎縮関連遺伝子マーカー(KLF15,REDD1,MuRF1など)の発現増加や萎縮が抑制できること,(2)ビタミンD投与を行うと,グルココルチコイド受容体の核移行は阻害されないが,FoxO1およびFoxO3aの核移行は阻害され,筋萎縮関連遺伝子マーカー(MuRF1,MAFbxなど)の発現増加や萎縮が抑制できることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2022年度が本研究課題の最終年度であり,温熱刺激またはビタミンD投与が悪液質により惹起される代謝異常とそれに伴う骨格筋萎縮の進行過程に及ぼす影響とその作用機序の解明は計画通り終了したが,補助事業の目的をより精緻に達成するための研究の実施(追加(再現)実験の実施や論文投稿など)を要する。
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Strategy for Future Research Activity |
科学研究費助成事業(学術研究助成基金助成金)の目的をより精緻に達成するための研究の実施(追加(再現)実験の実施や論文投稿など)を要するため,2023年度までの期間延長を申請し承認された。本研究によって得られた成果を広く公表していく予定である。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症による世界的なパンデミックの影響を受け,計画していた追加(再現)実験の実施や論文による成果公表にまで至らなかった。2023年度は補助事業の目的をより精緻に達成するための研究の実施(追加(再現)実験の実施,論文投稿など)に使用する。
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Research Products
(3 results)