2020 Fiscal Year Annual Research Report
骨格筋のメカニカルストレス応答を基にした運動模擬薬候補の探索
Project/Area Number |
20K11301
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
宮坂 恒太 東北大学, 加齢医学研究所, 助教 (20590300)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 伸展刺激 / メカニカルストレス / 脂質代謝 / 筋分化 / 運動模擬薬 |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者はこれまで、筋収縮を模した骨格筋への伸展刺激が、遺伝子発現変化を介して代謝を変換することを示し、さらに伸展細胞の培養上清には、細胞の代謝を変換できる因子が含有されていることを明らかにした。これは運動による全身の代謝改善効果を再現しており、この活性分泌因子の作用機序解析が、服用のみで運動効果をもたらすExercise pillの開発につながる。この探索のために、核内受容体の活性化に着目して、候補の選定をおこなう。また、代謝改善薬としての機能を糖尿病や肥満などの疾患モデルに適用して検証する。この知見は、生活習慣病や高齢者のfrailtyに対する抜本的な解決策につながると考えられる。 本研究の目的は、機械的刺激が印加された骨格筋細胞からの分泌物に着目したもので、1)新規活性分子の同定、2)作用機序解明と標的因子の同定、3)活性分子をリード化合物としたExercise pill小分子化合物の開発、4)新規運動マーカーの探索と設定を行う。 申請者は、物理的刺激を印加された骨格筋細胞が、様々な因子を分泌することを明らかにした。従来も運動に伴う骨格筋からの分泌因子の研究は行われてきたが、生体内の分泌因子の種類は多岐にわたり、骨格筋に対する運動量を反映した分泌因子を同定することは困難であった。一方、申請者の手法で同定された因子は、機械刺激により骨格筋から分泌されたもののみであり、純粋な骨格筋の運動量を評価する「運動マーカー」となる。 本研究では機械刺激を負荷した細胞とその培養上清からタンパク質及び脂質を抽出し、細胞から分泌することが既に報告されているものの、機能が未知である4つの因子を同定した。これらの因子を未刺激の細胞に添加することで、筋分化の誘導および、脂質代謝の亢進を促進することができる1因子を同定することに成功した。
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