2020 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
20K11306
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
西 美幸 京都大学, 薬学研究科, 研究員 (60183894)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 小胞体 / カルシウム / 筋収縮 |
Outline of Annual Research Achievements |
1.TRIC 我々は小胞体からCa2+を放出するリアノジン受容体2型(RyR2)とその放出を補助すると考えているTRIC-Aチャネルの相互作用を示唆する論文を共同研究の成果として2020年に報告した。TRICにはTRIC-A, TRIC-Bの2つのサブタイプが存在するが、RyR2と共発現させた場合、RyR2のチャネル活性を変化させるのはTRIC-Aのみである。そこでRyR2とTRIC-Aチャネルが直接的に相互作用するかどうかを表面プラズモン共鳴(Biacore)法を用いて検証を試みた。高純度に精製したTRIC-A(コントロールとしてTRIC-B)チャネルをセンサーチップに固定して精製RyR2をその表面に流して両者の結合を比較した。我々の予想ではTRIC-AのみでRyR2との特異的結合を観察できるはずであったが、TRIC-A, TRIC-B両タンパク質とRyR2との結合は違いが見られなかった。考えられることは、1.TRIC-A, TRIC-BとRyR2との結合に差はない、2.差はあるが我々のBiacoreの条件では検出できなかった、のどちらかである。今後はBiacoreの条件を変えてやり直す予定である。たとえば、バッファーの組成を変える、センサーチップへの結合をRyR2にする、などである。 2.MG23 MG23は小胞体膜と核膜に存在する陽イオンチャネルであり、カルシウム透過性も確認されている。Mg23ノックアウトマウスの単離心筋細胞でのカルシウム動態を検討したところ、静止カルシウム濃度の上昇が確認された。Mg23ノックアウトマウスは心毒性がある抗がん剤ドキソルビシンに対しての生存率が高いこと、ドキソルビシン心毒性にはカルシウム変動も関わっていることから、今後さらに詳細な検討を予定している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナの影響で共同研究先に出向できなかったことがマイナスであったが、マウスの飼育には影響がなく変異マウスが育ってきている。
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Strategy for Future Research Activity |
1.Mg56コンディショナルノックアウトマウスのために、Mg56遺伝子のイントロン部にloxP配列を導入した変異マウスを外部委託により作製した。その戻し交配を4世代以上くりかえした後、心臓特異的薬物(タモキシフェン)誘導型Creマウスとの交配を開始した。まず充分なMg56遺伝子を変異させ、なるべく副作用の少ないタモキシフェン量を決定する。MG56は最近ヒト心筋症の患者で発現が低下していることが確認され、心臓での機能解明が待たれている。我々が作成した全組織でのMg56ノックアウトマウスは生後2週間以内に全て死亡するため、成獣でのMG56機能解析は不可能であった。そのためコンディショナルノックアウトマウス作製を計画した。 2.TRIC-AはRyRに作用してその働きを助ける役目がある。またMg23の機能解明は進行中であるが、カルシウムも透過できるカチオンチャネルであることがわかっている。従ってこれら2つのダブルノックアウトマウスは筋組織に興味深い表現型が生じる可能性があるため交配を開始した。さらに新生致死の表現型を呈するTRIC-B欠損マウスとの交配も予定している。 3.Biacore実験の条件検討。前年度はTRICをセンサーチップに固定しRyR2タンパク質を流してその結合を観察した。TRICはアミノ酸約300、対してRyR2は約5000で20倍近くの差がある。小さなTRICの固定が生理的な結合を障害している可能性も考えられる。単純に同じバッファーでRyR2を固定しTRICを流すと同程度のTRICの非特異的な結合がRyR2(-)のセンサーチップでも観察された。従ってより結合を乖離するような条件を見出す必要がある。塩濃度をあげる、蛋白濃度を低くする、をはじめに検討する。
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Causes of Carryover |
コロナで共同研究先の東京への出張をギリギリまで検討していたため。
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Research Products
(3 results)