2021 Fiscal Year Research-status Report
繰り返し脳震盪予防のためのセカンドインパクトによる脳損傷重症化リスクの推定
Project/Area Number |
20K11309
|
Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
青村 茂 東京都立大学, システムデザイン研究科, 客員教授 (20281248)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中楯 浩康 信州大学, 学術研究院繊維学系, 准教授 (10514987)
張 月琳 上智大学, 理工学部, 准教授 (20635685)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 法医鑑定データ / 外傷性脳損傷 / 多体動力学 / 有限要素解析 / 複数回打撲 / 動画による事故の可視化 / 事故の再現と検証 / 繰り返し脳震盪 |
Outline of Annual Research Achievements |
1.日本脳神経外傷学会に投稿する論文を作成している(80%作成済み)。 タイトル:「階段での転倒による頭部外傷事故の再現と脳損傷評価」-複数回の打撲が疑われる症例―、概要:本論文では、死因が脳挫傷であり,さらに頭部をはじめ身体に複数の打撲痕が残る階段での転倒・転落による死亡事故を解析した.事故の解析にあたっては、まず多質点系動力学をもとに,発生の可能性のある転倒・転落動作を複数再現し、その中から打撲の位置と身体の損傷痕とが一致する転落動作を決定した.次に決定された転落動作から得られたそれぞれの衝突に対する姿勢と初速度を初期条件として有限要素解析が行われ、階段での転倒・転落事故は頭部損傷を始めとして複数の打撲を含めて検証された。
2.日本犯罪学会に投稿する論文を作成している(50%作成済み)。 タイトル:「法医鑑定記録への生体力学の適用による頭部外傷症例の再現と検証」、概要:頭部外傷が主な死亡原因と判断された78件の事故の再現が行われ、事故経緯と頭部の損傷が詳細に検証された。多体動力学により事故の再現が行われ、それにより得られた結果を初期条件として頭部有限要素モデルに適用し、頭部損傷の解析を詳細に行った。計算に際しては78件を3つのグループに分けた:解析のための力学的情報が、1)ほぼ揃っているもの、2)複数の情報が不明なもの、3)情報の不足に加え事故の状況が不明なもの。情報不足や事故状況が不明な場合には条件を変更して繰り返し計算を行い、現実的により状況に合う答えを導いた。結果は事故状況の再現動画を含めて示され、条件の揃っているものは明確に事故の状況が再現され、状況が不明確なものも事故発生経緯と傷害の進行状況がより明確に説明された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1.信州大学の中楯准教授、上智大の張准教授の協力を得ておおむね順調に進行している。ただしコロナ禍の影響もあり、研究活動に参加する学生を交えての対面での打ち合わせができないため、作業の進行や進捗の確認等でかなり効率が低下している。 2.申請課題では繰り返しの損傷に「脳震盪」と謳っているが、さらに外傷全般に範囲を広げているため解析の対象も少し広がっている。ただし研究そのものに関しては問題なく進行している。
|
Strategy for Future Research Activity |
1.上記、日本脳神経外傷学会および日本犯罪学会に論文を投稿する。 2.四国医学雑誌に以下の2編を論文を投稿する予定である。 「繰り返し脳震盪の診断支援システムの検討」(原案は50%作成済み)および「救急医療情報を基にした頭部外傷事故の再現と脳損傷の予測」(原案は50%作成済み)
|
Causes of Carryover |
コロナ禍により学会のオンライン開催が増えたこと、さらに海外への学会参加ができなかったことにより旅費の出費がほぼなかった。次年度は最終年度でもあるので、これまでの年度の分も含め学会参加や論文発表等を積極的に行っていきたい。
|