2020 Fiscal Year Research-status Report
Development of a noninvasive muscle conditioning determination method using 13C glucose stable isotope breath test
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20K11312
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Research Institution | Bunkyo University |
Principal Investigator |
藤見 峰彦 文教大学, 健康栄養学部, 准教授 (80322452)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
目加田 優子 文教大学, 健康栄養学部, 准教授 (60617281)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 運動科学 / 糖代謝 / 安定同位体 / グルコース / インスリン |
Outline of Annual Research Achievements |
陸上(長距離)部の選手13名、非アスリート6名をリクルートし、研究を行った。対象者背景としては身長・体重・BMIに有差はなく、筋肉量、体脂肪において有意差を認めた。血液検査ではAST、ALTがアスリートで有意に高値であったが、基準値以内でありトレーニングの影響と考えられる。HbA1c、γ-GTには有意差は無かった。 空腹時に安定同位体グルコース0.1 gを摂取し1時間おきに6回呼気を採取した。この条件ではインスリンは誘導されず、肝臓でのグルコース代謝が主に計測値に現れる。排出曲線は2時間でピークを示した後緩やかに減少した。6時間の累積二酸化炭素排出量はアスリートで有意に低かった。また2時間値と3時間値にて2群間に有意差が認められた。 安定同位体グルコース摂取時に同時に非標識グルコースを50 gを摂取し、1時間おきに6回呼気を採取した。この条件ではインスリン誘導がある為、筋肉を含む全身的なグルコース代謝が計測値に現れる。排出曲線は3時間でピークを示したのち緩やかに減少した。6時間累積二酸化炭素排出量はアスリート群で有意に低かった。また3時間値にて2群間に有意差が認められ、アスリート群の曲線は非アスリートに比べ最初の0~1時間と1~2時間の二酸化炭素排出速度の変化率が小さい傾向が認められた。 累積排出量から、体内に残っている安定同位体炭素を推定した(推定蓄積炭素とする)。推定蓄積炭素量はアスリートで有意に高く、推定蓄積炭素量に筋重量体重比を乗じた値、肝重量体重比を乗じた値はいずれも2群間で有意差を認めた。6時間累積排出量と、筋重量体重比には弱い相関を示す可能性が認められたが、肝重量体重比には相関がなかった。 コロナ禍で被験者が集まらず検体数が少ない為、統計に不安がある。特に非アスリートが少ないことからデータの信憑性が低い。次年度も引き続き検体数を増やす必要があると考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本課題は呼気を試料とし、また対象者を大学生(18~24歳位)に設定している。1年目はコロナ禍によって進捗が遅れることとなった。 計画上、被験者のリクルートを開始すべき時期に緊急事態宣言が重なり、大学運動部寮の閉寮や学生の登校禁止措置などがあり、研究の第1段階とも言える被験者募集に大きな影響がでた。宣言解除後も自粛などが続き、被験者となる大学生が登校できるようになった後、被験者募集の開始時点でほぼ半期の進捗遅延が生じる事となった。緊急事態宣言が終わった後、被験者を確保したものの特に対象群では十分な検体数が得られなかった。また実施面でも当初予定しなかった感染防止対策上の作業が増えた。呼気を採取するため対象者の健康チェック(検温)のしくみを設けたり、作業者の安全を考慮し試料を一次保管してから計測するなどを行った。被験者確保が遅れたため、試料の採取時期が長距離選手のハイシーズンに重なり、練習や試合の日程を避けて試料採取を行うなどの対応を取ることになり採取の遅れや辞退者の増加につながった。このようなコロナ禍特有の事情があり、被験者確保(時期の遅れと人数の不足)と感染防止対策の追加等から総合的に判断し研究の進捗を「やや遅れている」と判断した。 試料採取ができてからは着実に解析が進み一定の成果が得られたものと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
感染防止対策や蔓延防止の対策が社会的に定着してきた事で、大学でも対面授業が行われるようになってきた。また1年目に呼気試料を扱う作業においても感染防止対策のノウハウが蓄積された。これらのことから1年目に比べて被験者の確保が進むとともに作業面の効率化が進むものと予想される。1年目において検体数が少ないながらも有意差のあるデータが得られている。そのため現時点で研究の仮説や計画を大きく変える状況には無いと判断する。1年目の遅れを取り戻す事(検体の追加確保)を2年目前半の重点目標とする。また、2年目の研究計画ではコンディショニング(グリコーゲンローディング)の影響を検討することになっており、これも計画通りに実施していく。1,2年目のアスリート対象者は陸上(長距離)選手であったが、他競技に関しても対象者の確保に努める。
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Causes of Carryover |
進捗状況に記載の通り、本研究はコロナ禍によって計画上被験者をリクルートする時期に緊急事態宣言が重なり、大学運動部寮の閉寮や学生の登校禁止措置などがあり思うように被験者募集を開始する事ができなかった。その後の社会的情勢等により大学生の登校に制限がかかった結果、被験者の募集開始にほぼ半期の進捗遅延が生じたこと、被験者数が少なくなった(集まらなかった)事、辞退者が出たことなどから結果的に研究実施の遅れや規模縮小が生じ、当初計画の予算執行に至らなかった。 2年目は感染防止対策や蔓延防止の対策が社会的に定着してきた事で、大学でも登校が許可され対面授業が行われるようになってきた。呼気試料を扱う作業においても感染防止対策のノウハウが蓄積されたことから1年目に比べて被験者の確保が進むとともに作業面の効率化が進むものと予想される。当初予定されていた実験計画を進めていくとともに、被験者確保を積極的に進め1年目の遅延を回復(検体数の追加)する。
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