2020 Fiscal Year Research-status Report
”こころの推進力”の様態からみたアスリートの心理的問題の類型化
Project/Area Number |
20K11313
|
Research Institution | Kokushikan University |
Principal Investigator |
中込 四郎 国士舘大学, 体育学部, その他 (40113675)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | スポーツカウンセリング / アスリート / こころの推進力 / アセッスメント / 事例 / 分類 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、アスリートの心理相談記録を分析資料として、“こころの推進力”(心理的エネルギー)の様態を手掛かりとして、来談時のアスリートの体験レベルに迫り、彼らの問題行動(主訴)の類型化を試みることを目的とした。 研究計画の1年目にあたる本年度は、臨床心理学、精神医学そしてスポーツカウンセリング等での心理的問題の分類に関わる先行研究を概観し、その結果、スポーツカウンセリングにおいては、多くが病態水準あるいは精神科診断に基づく分類が中心となっており、心理相談(心理治療)における心理的課題や予後を踏まえた観点までも含めた類型化がなされていないことを明らかにした。研究計画者自身が担当した相談事例、スーパーヴァイザーとして関わった相談事例、さらには事例検討会で発表者から了承を得た相談事例について、研究計画の段階で仮説的に設定してあった6類型(低下-変換、停滞-補充、浪費-水路、分散-発掘、個室-分散タイプ)のあてはめを試みた。まだ確定的な主張までに至らないが、アスリートの相談事例の「見立て」を行う上で、“こころの推進力”(心理的エネルギー)の様態に注目することの有効性の一端を確認することが出来た。しかしながら、仮設的に設定した6類型のいずれかに全ての相談事例を当てはめようとした場合、検討すべき課題が残された。 研究成果の一部を自身が代表者となっている研究会(第7回臨床スポーツ心理学研究会)において本研究計画ならびに仮説的に設定した類型に就て幅広く意見を求めた。今後は、さらに相談事例を“こころの推進力”(心理的エネルギー)の様態を手掛かりとする分類ならびに理解の観点としての有効性について検討を重ねていくことになる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究計画では仮説的に設けた“こころの推進力”(心理的エネルギー)の様態に基づいたアスリートの心理的問題の類型(タイプ)の有効性について、広くスポーツカウンセラーからの意見収集を図る計画でいたが、新型コロナ感染症の拡大による移動制限があり、予定通りに進められなかった。また、関連の国際学会での研究発表を通して本研究課題に関連した情報収集を図ることも実現できなかった。
|
Strategy for Future Research Activity |
次年度も引き続き、種々の立場からのアスリートの心理相談事例の収集を重ね、それらの分析を通して、“こころの推進力”(心理的エネルギー)の様態に基づいた類型化やクライエント理解の有効性について検討していく。また、仮説的に設定した類型(タイプ)の妥当性や有効性について、関連の研究会や学会での発表そして論文等を通じて、その妥当性や有効性について専門的見解を求める。
|
Causes of Carryover |
本研究計画では、研究実施者が仮説的に設定したアスリートのアセスメントにおける、“こころの推進力”(心理的エネルギー)の様態を手掛かりとした観点の有効妥当性確かめにおいて、国内でのスポーツカウンセラーに対して、事例提示を通した意見収集、そして国内外での学会等で発表を予定していたが、新型コロナ感染症の拡大による移動制限があり、予定通りの実施がなされなかった。次年度も感染症の影響を引きずる可能性が高いが、安全性を確保して積極的に意見収集を行うよう努める。
|
Research Products
(5 results)