2021 Fiscal Year Research-status Report
競技スポーツにおけるコーチングと集団レベルの心理的変数に関する実証研究
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20K11328
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
池田 英治 筑波大学, 体育系, 助教 (70726877)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | coaching / collective efficacy / cohesion / motivational climate / empirical research |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度においては,2020年度に引き続き,本研究で用いる諸概念の理論的研究と使用する尺度についての予備的検討を行った.諸概念のうち,Perceived Motivational Climate in Sport Questionnaire(PMCSQ)とLeadership Scale for Sport(LSS)の尺度の信頼性・妥当性に問題について検討した.それら2つの尺度に関して,高校生を対象に調査を実施し,因子分析の手法を用いて検証を行った結果,LSSの“Autocratic Behavior”因子の信頼性が基準を満たさないことが明らかとなった.この成果については,日本体育・スポーツ・健康学会第71回大会にて発表した. 続いて,バスケットボール競技におけるcollective efficacy(CE)とcohesion(CO)の変容過程モデルを呈示し,それらの変数とコーチング(言語的,非言語的)との関連を把捉すること,を試みた.その結果,CEには自己回帰過程が認められるものの,COにはその過程が認められないことから,COは相対的に1シーズンをとおして変化しやすい性質があることが明らかとなった.また,CEはCOを,COはCEを有意に予測するという過程が認められたことから,両変数が影響を及ぼし合う関係性にあることが明示された.さらに,コーチングの中でも,言語的なもの(言葉かけ,言葉によるフィードバック)はCEを高める一方で,非言語的なもの(身振り,手振り)はCEとCOの双方に影響を及ぼさないことが明らかとなった.以上より,バスケットボール競技においては,CEに着目したチーム作りが肝要であり,チーム・パフォーマンスを最大化するうえでは,指導者は,言葉を用いたコーチングを積極的に行うことが理想的であると示唆された.この成果については,第32回日本コーチング学会にて発表した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2021年度の研究課題は,第1に,本研究で用いる諸概念の理論的研究と使用する尺度についての予備的検討を行うことであった.理論的研究を行う中で,質問紙調査を行うことが求められると考えられた,Perceived Motivational Climate in Sport Questionnaire-2については,調査研究を行うことができなかったため,予定を変更して,2022年度での調査を実施することを予定している. また,ビデオカメラやワイヤレスマイクを用いて指導者のコーチング行動(CB)を記録し,コーチの身振り手振りや選手とのコミュニケーション場面について,“Coaching Feedback Questionnaire”や「コーチのノンヴァーバルコミュニケーション評価尺度」を参考に分析することも2021年度の研究課題であった.しかしながら,新型コロナウイルス感染症の影響で,予定どおり実施することができなかったため,本課題についても,予定を変更して,2022年度での調査を実施したいと考えている.
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度は,第1に,collective efficacyとcohesionを測定するとともに,PMCSQ-2(Newton et al., 2000)の翻訳版を用いて動機づけ雰囲気を測定し,その尺度としての信頼性・妥当性を検証する.第2に,2021年度に予定どおりの実施が叶わなかった「コーチング行動(CB)」の調査について,コーチの練習中におけるCB(行動の観察・記録)を調査し,併せて,LSS(Chelladurai and Saleh, 1980)あるいはCFQ(Amorose and Horn, 2000)の翻訳版を用いて選手のコーチング行動に対する認知を測定する予定である.第3に,コーチング効力感尺度(Myers et al., 2005)の翻訳版を用いて,指導者自身が抱くコーチとしての効力感を測定する.調査対象は,全日本大学バスケットボール連盟に所属する選手,並びに指導者とする. 以上の課題について,研究計画段階においては,調査期間を「第1期:2022年3月上旬~同年7月下旬」,「第2期:2022年8月上旬~同年12月下旬」の何れかとしたものの,新型コロナウィルス感染症の影響により,年間の行事予定等が変更になるおそれがあることから,現実的に実施可能な日程について見極めながら実施予定を調整したいと考えている.
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Causes of Carryover |
2020年度の実施計画であった2021年3月の調査が実施できず,さらに,その代替として実施予定であった2021年12月の調査についても新型コロナウィルスの影響により,実施することが叶わなかった.そのため,物品費(ビデオカメラ,ワイヤレスマイク,外付けHDD等),調査に係る旅費,謝金・人件費が予定どおり執行できなかった.また,学会活動や研究打ち合わせ等においては,新型コロナウイルス感染性の影響により,主にオンラインで行ったことから,それらに係る費用を計画どおり支出するに至らなかった. 2022年度においては,社会的な状況を考慮しながら,実施できていない調査を行い,それに際してかかる「物品費」に関しては,ビデオカメラ,ワイヤレスマイク,外付けHDD等の購入に充てる予定である.また,「旅費」に関しては,研究打ち合わせ,調査研究と成果発表(年1回以上)に充てる予定である.最後に,「人件費・謝金」および「その他」に関しては,申請書に記載のとおり,調査協力者への謝金,調査補助費,論文投稿費,英文校正費等に充てる予定である.
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Research Products
(3 results)