2020 Fiscal Year Research-status Report
「心で体を引っ張る」:身体不調時のサイキングアップに関する脳内メカニズムの解明
Project/Area Number |
20K11331
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
小谷 泰則 東京工業大学, リベラルアーツ研究教育院, 助教 (40240759)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大上 淑美 東京工業大学, リベラルアーツ研究教育院, 研究員 (30456264)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | スポーツ心理学会 |
Outline of Annual Research Achievements |
アスリートのためのメンタルトレーニングでは、試合場面での緊張を和らげるためのリラクセーションについては、脳内の神経メカニズムを含め多くの研究や技法の開発が行われている。しかしながら、調子の悪いときに心を奮い立たせ、ベストな状態に近づけていく「サイキングアップ」に関する研究は非常に少ない。一方、近年の脳科学では、脳のON/OFFの切り替えを脳の中の3つのネットワークが行っているという「トリプルネットワーク理論」が提唱されるようになった。本研究では、fMRIと脳波を用いて脳のネットワークの活動を測定し、サイキングアップの脳内メカニズムを調べることを目的とした。 2020年度では、これまでの知見からいくつかのサイキングアップを促す刺激を設定し、fMRIを用いて各実験条件時にトリプルネットワーク理論で示された3つのネットワークがどのように活動するかを確かめることを目的とした。fMRI実験では、実験課題として「4秒たったらボタンを押す」というタイミング課題を用いた。先行研究より、この課題を用いた場合、島皮質と呼ばれる脳領域を中心とした切替ネットワークが活動することがわかっている。そのため、サイキングアップを促す刺激が、この島皮質を中心とした切り替えネットワークを賦活させるかを確認するために実験を行った。その結果、タイミング課題実施中に、サイキングアップを促す刺激に対し、島皮質が賦活していることを確認できた。 しかし、その後、新型コロナウイルス感染症が発生し、感染予防のため非常事態宣言が2度にわたり発出されたために実験を途中で停止せざるを得なくなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染症の蔓延により、感染防止のために実験を停止せざるを得なくなった。そのため、当初予定していた実験を行うことができなくなり、予定よりも遅れることとなった。特にfMRIの実験は医療機関で行っているため、当面の間、感染予防のためfMRI実験を中止せざるを得なくなった。 また、緊急事態宣言が発出された地域に該当するため、本研究者および実験参加者が他者との接触を最小限にする必要があり、長期間の在宅勤務等により研究計画が遅れることとなった。
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Strategy for Future Research Activity |
実験を再開できるメドが立っていないために、今後は、現在得ることのできているデータを用いて、さらに詳細な分析を進め、サイキングアップを促す刺激に対して、(1)3つの脳内ネットワークが活動しているか、(2)サイキングアップを促す刺激の種類に応じて、ネットワークの活動に変化が生じているかについて分析を行う。 新型コロナウイルス感染症の感染状況は、2020年度よりも2021年度の方が悪化しており、場合によっては長期間の非常事態宣言の発出も予想される。そのため、2021年度は状況によっては、実験を再開することが困難なことも予想される。その場合には、研究期間の延長も考慮する。 一方で、新型コロナウイルス感染症予防のためのワクチンの接種も開始されている。万が一、ワクチンの接種により状況が好転し、実験を再開する社会的状況が整った場合には、現在停止しているfMRIの実験を再開し、データ分析をさらに進める。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症の蔓延のため、予定していた実験を途中で中止せざるを得なくなった。そのため、実験の実施を次年度に繰り越し、合わせて予算も次年度に使用することとした。
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Research Products
(2 results)
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[Presentation] The Effect of Task Length on Functional Connectivity of the Amygdala in a Picture Viewing Task2020
Author(s)
Yasunori Kotani, Yoshimi Ohgami, Nobukiyo Yoshida, Akira Kunimatsu, Shigeru Kiryu, Yusuke Inoue
Organizer
2020 Virtual Annual Meeting of Society for Psychophysiological Research, Psychophysiology, Volume 57, Supplement 1, S20, Oct. 2020
Int'l Joint Research