2020 Fiscal Year Research-status Report
Molecular hydrogen as a novel regulator of exercise-induced oxidative stress.
Project/Area Number |
20K11332
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
小山 勝弘 山梨大学, 大学院総合研究部, 教授 (30313779)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 水素分子 / 酸化ストレス / 経鼻吸入 / 高強度運動 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は「不活性ガスと考えられてきた気体状の水素分子は運動に起因して生じる不可避の酸化ストレスを軽減し,運動刺激に対するポジティブな生体応答を積極的に引き出す調節因子として機能する」という仮説を検証し,それらの影響下にある運動パフォーマンスの変動についても検討することを目的としている. 2020年度の研究計画は「ヒト(健常成人,n=10)を対象にして,高強度運動負荷試験(75%VO2maxで30分間の走行+スクワットジャンプ50回)を実施し,その後の回復過程で,カニューレによる60分間の水素ガス(対照は通常の大気)の経鼻吸入を行った場合に生じる急性の生体応答を二重盲検法にて明らかにする」ことであった.しかしながら,新型コロナウイルス感染症の世界的な蔓延に影響を受け,大学における対面授業が制限され,さらに運動施設や実験施設の利用制限も年間を通して継続された.さらに,感染拡大の第2-3波の到来を経験することになり,人と人との身体的接触を回避する措置を講じ続ける必要性が高まり,2020年度に計画していた実験研究を遂行することができなかった.2020年度は,次年度(2021年度)以降に実施する研究計画の詳細を再検討し,その準備のための準備を進めるとともに,関連分野の先行研究からその動向を詳細に捉える期間として活用した.その成果として,分子状水素と運動との関連を検討する先行研究は増大しているものの,経鼻吸入を介入手段としているものは依然として稀少であり,当初計画通りに研究を実施していくことが求められると判断された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の蔓延によって,研究の倫理審査委員会による承認が得られず,研究自体を実質的に開始することが不可能な一年となった. 2020年度の当初計画では,ヒトを対象にした検証を予定してしたが,高強度運動の実施,採血・採尿など,実験参加者と実験者との身体的接触を回避することが難しく,現実的に本研究課題を遂行することは困難であった.今後は妥当なCOVID-19予防策を講じつつ,社会的,特に地域的な感染状況から判断して適切な時期に研究課題に着手したい.
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の状況を見極めながら,早期に具体的な研究計画書を基にした研究倫理審査委員会の承認を取り,研究に着手できる状況を整える.COVID-19感染リスクをゼロにすることは不可能であるが,最大限の配慮を行った上で,2021年度内に開始できるようにしたい.また状況によっては,当初計画を修正し,動物実験を先行することについても検討する予定である.
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Causes of Carryover |
【現在までの進捗状況】に示した通り,2020年度は新型コロナウイルス感染症の蔓延によって,実質的な研究に着手することが不可能であった.2021年度は当初計画にあるヒトを対象にした研究を進め,2022年度以降に動物モデルを用いた研究を実施する予定である.2021年度分として請求した助成金に残額が生じた場合には繰越を行い,実際に研究が遂行され,予算執行が可能な段階で使用する予定である.
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