2021 Fiscal Year Research-status Report
呼吸筋トレーニングおよび呼吸筋負荷が低酸素下運動時の呼吸循環調節機能に及ぼす影響
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20K11334
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Research Institution | Osaka Kyoiku University |
Principal Investigator |
小川 剛司 大阪教育大学, 教育学部, 准教授 (70451698)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 運動 / トレーニング / 呼吸筋 / 環境 / 換気応答 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまで申請者は、高所での運動能力低下には呼吸応答や呼吸筋活動が関係することを明らかにしてきた。さらに、呼吸筋をトレーニングすることで呼吸が改善され、高所での運動が安全に行うことができる可能性を報告してきた。特に、この研究では、我々の開発した呼吸筋トレーニング手法によって換気応答の増加とともに低酸素下での運動能力低下を抑制することを明らかにした。しかしながら、呼吸筋トレーニングによって運動時の換気応答が変化するメカニズムが明らかでない。また、運動時に吸気に陰圧負荷を行ったときの生体反応は明らかでない。今年度は、昨年度に引き続き、呼吸筋トレーニングによる運動時呼吸応答の変化のメカニズムを解明する実験を行った。その結果、呼吸調節機能は呼吸トレーニングを行っても変化しなかったが、トレーニングによって呼吸筋の酸素状態の改善傾向が見られた。この結果により、呼吸筋トレーニングが運動時呼吸筋の疲労耐性を向上させる機序の一つとして新たに明らかにすることができた。呼吸筋疲労は換気応答に影響するだけでなく、循環応答にも影響を及ぼすことが示唆され、効果的な運動トレーニング法として提唱できる可能性がある。現在、学会発表、国際誌投稿の準備中である。 また、上記実験に加えて、呼吸筋疲労時の循環調節に注目し、高強度運動をモデル化し、呼吸筋疲労を加えることで血圧調節、循環調節機能について調査した。研究当初の仮説に反して、安静時に呼吸筋疲労を生じさせても血圧上昇反応は生じず、高強度運動を加えても相乗的な効果はなかった。このことから、呼吸筋疲労惹起の手法によって反応が異なる可能性が考えられる。来年度にむけて新たな課題となり、継続して実験を行っていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度では、新型コロナウィルス感染症拡大防止対策として、所属大学の入構が規制された。そのため、実験備品等の整備や被験者の募集スケジュールに遅延が生じた。その後も、人を対象とした実験では、感染症対策の徹底が必要であり、実験の遂行に困難が生じた。そのため、実験実施計画、遂行順序を昨年度において変更した。今年度も実験が行いづらい状況が続いており、昨年度より継続し、トレーニング実験を行った。当初計画よりも遅れが生じたものの、24名のデータの取得を完了した。人を対象とした研究課題では、研究の遂行が困難な状況にあるが、柔軟に対応することで、研究目的および内容を変更することなく研究を遂行している現在、学会発表、国際誌投稿の準備中である。呼吸筋トレーニングとは呼吸筋に負荷を加えて疲労させることで適応を生じさせようとするものである。そこで、トレーニング奏功メカニズム解明のために、呼吸筋疲労下での循環応答の解明に取り組んだ。この実験課題は当初計画より一歩踏み込んだものであり、効率よく研究計画を遂行できている。しかしながら、当初の仮説とは異なる結果が得られており、即時に成果として発表できるものではない。そこで、実験継続を行うこととしている。
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Strategy for Future Research Activity |
令和3年は大阪府では新型コロナウィルス感染症拡大が深刻な状況にあった。そのため、実験では、サージカルマスク、フェイスシールド、グローブ、エプロンの着用を行う。また、機器の消毒を行うなど感染予防対策を徹底した状況下での実験を行う。また、研究実施計画については、大学のロックダウンなどに対して柔軟に対応し、実験を遂行していく。被験者の募集に困難があるが、残り2年間の研究期間において着実に研究計画を遂行していく。 令和4年度は、トレーニング実験ではなく、呼吸筋トレーニング奏功メカニズムの解明に取り組む。その一つに呼吸筋疲労惹起時の循環応答、循環調節が課題である。この課題は、当初計画よりも踏み込んだ課題であり、20名程度の被験者参加を募り、実験を行っていく。実験では安静時に呼吸筋負荷を加えたときの循環応答を調べる。呼吸筋負荷法、すなわち呼吸筋疲労惹起の手法をいくつか検討していく。負荷の手順(吸気のみに加えるか、吸気呼気ともに加えるか、負荷強度の設定)の違いにより整体は脳が異なることが予想される。 一方で、呼吸筋トレーニングの効果として低酸素下での運動能力低下抑制が得られることを明らかにできたが、そのメカニズムが十分に明らかでない。そこで、当初計画どおり、低酸素下での運動時に呼吸筋負荷を加えたときの生体反応を調べる。夏季より実験を開始する予定であり、15名程度の実験を予定している。 また今年度は研究機関最終年度であり、成果発表も積極的に行っていく。
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Research Products
(1 results)