2021 Fiscal Year Research-status Report
Does increased passive force result in an increase in active force during recovery from muscle fatigue?
Project/Area Number |
20K11335
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
和田 正信 広島大学, 人間社会科学研究科(総), 教授 (80220961)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡邊 大輝 広島大学, 人間社会科学研究科, 助教 (30823281)
松永 智 京都産業大学, 現代社会学部, 教授 (70221588)
矢中 規之 広島大学, 統合生命科学研究科(生), 教授 (70346526)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | タイチン / タイチン依存性能動的張力 / 筋疲労 / 筋原線維Ca2+感受性 / Ca2+誘因性最大張力 |
Outline of Annual Research Achievements |
筋細胞を伸張した際に発生する張力は「受動的張力」と呼ばれ,筋原線維に存在するタイチンがその源である.近年,タイチンは受動的張力のみならず,能動的張力(アクチンフィラメントとミオシンフィラメントによって発生する張力)にも影響を及ぼすことが報告されている.今年度の研究目的は,一過性の等尺性張力がタイチン依存性能動的張力に及ぼす影響を検討することであった.実験には,Wistar系雄性ラットを用いた.片脚の腓腹筋に,張力が初期値の50%に低下するまで,電気刺激による等尺性収縮を繰り返し負荷した.その後,腓腹筋をからskinned fiber (形質膜を除去した単一筋線維) を作製し,タイチン依存性能動的張力を測定した.なお,刺激を負荷しない脚をコントロールとして用いた. 収縮によって,(1) Ca2+誘因性最大張力は,サルコメア長2.4 μmでは変化しないが,3.0 μmでは低下すること,(2) length-dependent activation (筋を伸張すると筋原線維のCa2+感受性が増加する現象) およびpassive force enhancement (筋が能動的張力を発揮しているときに,筋を伸張した後の受動的張力が,同じ筋長の受動的張力より大きい現象) は増加すること,(3) residual force enhancement (筋が能動的張力を発揮しているときに筋を伸張すると,同じ筋長の能動的張力より,大きな張力が発揮される現象) は低下することが認められた.これらの結果は,受動的張力は能動的張力を制御していること,および骨格筋には,筋疲労に伴う張力の低下を軽減するメカニズムが備わっていることを示唆する.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2020年度(研究1年目)には,一過性の等尺性収縮が受動的張力に及ぼす影響を検討し,収縮によって受動的張力が低下すること,またその原因はプロテインキナーゼCαによるリン酸化の程度が低下するためであることが明らかとなった.そこで,2021年度は,タイチン依存性能動的張力に及ぼす影響を検討することを計画し,予定通り研究を実施することができた.
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Strategy for Future Research Activity |
伸張性収縮とは,収縮中,筋長が増加する様式の収縮である.これまで本研究室では,伸張性収縮により,カルパイン(タンパク質分解酵素の1つ)が活性化され,筋損傷が生じることを明らかとした.タイチンは,カルパインのターゲットタンパク質である.そのため,伸張性収縮後では,受動的張力およびタイチン依存性能動的張力が低下することが予想されるが,この問題について言及した研究はこれまでなされていない.そこで,2022年度には,この点について検討する予定である.
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Causes of Carryover |
張力計を発注したが,2021年度中に物品が届かず,支払いが終わっていない.
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