2022 Fiscal Year Annual Research Report
大豆イソフラボン代謝産物エクオールが運動による動脈硬化改善効果に及ぼす影響
Project/Area Number |
20K11341
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Research Institution | Kokugakuin University |
Principal Investigator |
林 貢一郎 國學院大學, 人間開発学部, 教授 (90433474)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 唯 國學院大學, 人間開発学部, 助教 (50782843)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | エクオール / 動脈硬化 / 血管内皮機能 / 有酸素運動 / エストロゲン |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題の目的は,大豆イソフラボンの代謝産物であるエクオールの産生能力の有無が有酸素性運動トレーニングによってもたらされる動脈機能(動脈硬化や血管内皮機能)の改善度に影響するか否かを明らかにすることであった。閉経後女性(~69歳)において,有酸素運動の実施による動脈機能改善にエストロゲン作用の有無が関係する可能性があることから,エクオール産生者では非産生者よりも有酸素運動トレーニングによる動脈硬化改善度が大きいのではないかと予測した。 横断的検討:2022年4月時点で100名程度の閉経後女性を対象として,身体活動量や有酸素性作業能力の高低およびエクオール産生能(尿中エクオール濃度を測定)の有無による4群間で動脈硬化指数を比較したが,明確な違いは認められなかった。横断的検討では他の因子の関与もあるため,縦断的検討が必要であると考えられた。 縦断的検討:すでに収集していたデータに加えて,8週間(2~3回/週,1回45分間)の有酸素運動トレーニングを実施し,その前後にエクオール産生能と血圧および動脈硬化指数の測定を行い,エクオール産生者とエクオール非産生者で比較した。その結果は仮説を支持するものであり,運動トレーニングによる動脈血圧の低下度や動脈硬化指数の改善度はエクオール産生者でエクオール非産生者よりも明らかに大きかった。また,8週間のイソフラボン摂取のみ(運動介入はしない)では,動脈血圧および動脈硬化指数は変化しなかった。これらの結果から,閉経後女性において,エクオール産生能の有無により有酸素運動トレーニングによる動脈硬化指数の改善度が異なることが示された。これらの結果は,エクオールの存在が有酸素運動トレーニングの動脈硬化改善効果を促進することを意味し,より効果的かつ経済的な動脈硬化改善のための運動処方策の提示につながるものであると考える。
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Research Products
(2 results)