2020 Fiscal Year Research-status Report
スプリントアシステッドトレーニングは最大疾走速度を向上させるのか
Project/Area Number |
20K11350
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Research Institution | Chukyo University |
Principal Investigator |
眞鍋 芳明 中京大学, スポーツ科学部, 准教授 (50406675)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 下り坂疾走 / アシステッドスプリント / スプリント |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は男子大学生を対象に下り坂および追い風を用いたアシステッドスプリントトレーニングによって超最大速度を体感させ,最大疾走速度およびその動作に与える影響を検証するものである. 初年度である2020年度では,複数の斜度における下り坂と平地での疾走を比較し,疾走速度に関連するパラメータおよび疾走動作の差異を明らかにすることに取り組んだ. その結果,斜度の増大に伴って,疾走速度とストライドが有意に増大したものの,ピッチに有意な差異は認められなかった.増大したストライドは,斜度の増大に伴い滞空距離が有意に増大し,支持距離に有意な差異が認められないことから,滞空距離の増大が原因であると考えられる.離地瞬時の身体重心速度は斜度に伴い有意に水平速度が増大し,鉛直速度が減少していた.また,鉛直速度の減少は4°および5°条件において負の値を示していた.豊島ほか(2015)は,疾走時における離地時の鉛直速度は鉛直力積によって増大し,ストライドを増大させる要因としている.しかし,下り坂疾走は斜度の増大に伴い鉛直速度が減少し,平地における疾走動作とは異なる結果であった.これは,斜度の増大につれて下腿のセグメント角度が水平に対して減少することで,地面反力の方向が鉛直方向から水平方向側に傾いたことによると考えられる. 以上より,下り坂を用いた疾走は,平地での疾走よりも高い疾走速度を容易に得られるが,その斜度によって生じる動作が異なっていた.また,斜度が4°を越えると,より疾走速度は高まるものの,平地での疾走において推奨されるような走動作とは異なる動作が生じていたことが明らかとなった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請時における研究計画の概要はとしては,研究課題1として2020年度にアシステッドスプリントの即時的効果を,研究課題2として2021年度にアシステッドスプリントトレーニングの長期的効果を検証するというものであった. そのなかで2020年度では下り坂を用いたアシステッドスプリントの即時的効果を明らかにでき,また追い風を用いたアシステッドスプリントの即時効果についても,現在実験が進行している状態である.本来であれば後者の追い風を用いた実験も終了している予定であったものの,コロナ渦による施設利用制限,移動制限などにより実験が遅れてしまったことが,その理由である. しかしながら,実験準備はすべて完了しており,2021年度の夏までには実験が完了する予定であることから,大きな問題は生じていないと判断する.
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Strategy for Future Research Activity |
申請時当初の予定では,2020年度にアシステッドスプリントの即時的効果を,2021年度にアシステッドスプリントトレーニングの長期的効果を検証する予定であった.しかしながら,研究課題について詳細に検討していったところ,そもそもアシステッドスプリント時における動作変容が明確にされていないことがわかり,即時的効果を検証する前に,その動作変容を明らかにすることとした. 今後,2021年度前半において即時的効果,2021年度後半において長期的効果を検証していく予定である.
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Causes of Carryover |
コロナ渦による施設利用制限等を原因とした実験の遅延により,初年度に使用する費用が次年度へと持ち越されてしまった.
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Research Products
(1 results)