2020 Fiscal Year Research-status Report
腱付着部障害の病態メカニズム解明および運動療法の効果検証に関する研究
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20K11351
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
篠原 靖司 立命館大学, スポーツ健康科学部, 教授 (10546708)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 腱付着部 / 腱付着部障害 / 運動療法 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は腱付着部障害の病態を考察し、運動療法の効果に対して科学的根拠を示すことを目的とし、本年度は下腿三頭筋の伸張性運動に対する評価を中心に行った。 大学生アスリート(陸上、ラグビーなど、ランニングおよびジャンプ競技者)を対象にカーフレイズによる下腿三頭筋伸張性運動を十分な負荷がかかる回数(100回と設定)実施。負荷後に起こる筋の変化を超音波shear wave elastography(SWE)を用い、弾性機能の変化を調査したところ、腓腹筋内側頭に大きな負荷がかかり、タイトネスが上昇していることが示された一方、筋腱移行部は負荷後にはタイトネスが低下していることが分かった。さらに、ストレッチセンサー貼付による評価では、筋腹より筋腱移行部の動きが大きいことも示すことができた。これらより、カーフレイズによる張性運動は、筋腱移行部に大きく動かすことで一般的に損傷が多い筋腱移行部への負荷を軽減する効果を有していることを示唆するものであった。しかしながら、実際のスポーツフィールドで評価される関節可動域による評価では、運動負荷により不変もしくは低下している結果となった。これより、関節可動域を規定しているのは筋実質部(筋腹)であることを示しており、筋腱移行部や腱付着部への負荷を関節可動域で評価することは難しく、現場で運藤効果を正確に評価できる方法を提案する必要がある可能性が示唆された。 さらに、負荷を調節した2種の下腿三頭筋の伸張性運動(現行の段差を使用したカーフレイズと平地で行うもの)を運動課題として評価するために、ストレッチセンサーを用い、動作課題における下腿三頭筋の動きを計測したところ、負荷を軽減した平地でのカーフレイズは、筋腹、筋腱移行部ともに70%程度の伸張負荷がかかっていることが分かった。現在、この2種の運動課題に対する評価を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定していた下腿三頭筋の伸張性運動に対する超音波評価を行うことができたが、現在のコロナ感染拡大の影響により、MRIなどの機器の使用、(学生アスリート)被験者の確保など、遂行することが困難であることも多かった。 予定通り遂行できない部分は実施を延期させ、次年度以降に予定していた各運動課題の評価(可能なもののみ)へ進めていくことができた。 全ての評価を同時に行うことが不可能となったため、最終的に全ての計画を実施するには予定していた期間を超過する可能性は高いが、本年度においては可能な範囲で滞ることなく、ある程度進めることができたと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
まず、負荷を調節した2種の下腿三頭筋の伸張性運動(現行の段差を使用したカーフレイズと平地で行うもの)に対する評価・比較を行っている。昨年度にストレッチセンサーを用いた評価を行ったところ、負荷を軽減した平地でのカーフレイズは、筋腹、筋腱移行部ともに70%程度の伸張負荷がかかっていることが確認できたため、次の評価として、本2種の運動課題に対する介入研究へと現在進めていいる。現在、2種の運動課題を健常成人を対象に3か月間継続実施中であり、介入が終了次第データを評価し、両群間の比較を行う予定である。今回は下腿三頭筋周囲長、徒手筋力計などを用いた筋肥大および筋力増強効果を検討している。 以降の予定としては、初年度に計画していたMRIやエコーを用いた形態評価、生化学的評価、上記以外の伸張運動(伸張時保持時間の変化)による運動課題の比較評価なども順次実施ていく予定としている。アキレス腱障害に罹患している患者を対象とした運動評価も実施する予定となっているため、可能であれば並行して遂行していくことを検討している。 すでにカーフレイズ以外の運動として足趾運動の導入を計画し、トライアルを開始している。アキレス腱の負荷を軽減する目的と、足部アライメントの改善を目的として、下腿三頭筋以外の足趾屈筋および足部内在筋の運動をアキレス腱障害に対する運動として評価する予定としている。 現在のコロナ感染拡大状況を考慮し、可能な範囲で遂行していくことができる計画より実施していく。初年度の研究遂行内容から、予定していた計測が困難である場合も十分に想定されており、カーフレイズ以外の運動課題を用いた効果検証や、バランス能力や筋電計計測など新たな評価を追加することで、新たな視点からの検討を行うことが可能となるため、様々なアプローチから目的としている腱付着部障害に対する病態や運動療法の効果を深めていくことができる。
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Causes of Carryover |
前年度に予定していた計測評価や被験者に対する介入実験がコロナ感染拡大下に十分に実施できなかった。さらに、予定していた国内外学会が中止や延期となり、学会参加費として計上していない。また、それに伴う交通費の使用も不要となったことなどから、当初予定していた費用の計画と大幅な変更が強いられている。 次年度に関しても、学会の実施形態や国際学会への参加、実験計画そのものにコロナ感染拡大による変更が生じる可能性が高く、今後の感染状況の動向を確認しながら、可能な計画もしくは修正を行いながら遂行していく予定にしている。
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[Journal Article] The Effect of Leucine-Enriched Essential Amino Acid Supplementation on Anabolic and Catabolic Signaling in Human Skeletal Muscle after Acute Resistance Exercise: A Randomized, Double-Blind, Placebo-Controlled, Parallel-Group Comparison Trial.2020
Author(s)
Takegaki J, Sase K, Yasuda J, Shindo D, Kato H, Toyoda S, Yamada T, Shinohara Y, Fujita S.
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Journal Title
Nutrients.
Volume: 12
Pages: 2421-2435
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
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