2020 Fiscal Year Research-status Report
糖尿病運動療法の最適化を目指したAMPK/OGTクロストークの解明
Project/Area Number |
20K11352
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Research Institution | Osaka Medical College |
Principal Investigator |
中川 孝俊 大阪医科大学, 医学部, 講師 (70359842)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | AMPK/OGTクロストーク / 運動療法 |
Outline of Annual Research Achievements |
運動療法は、食事療法、薬物療法と並んで糖尿病治療の中心的存在である。運動により活性化したAMP-activated kinase (AMPK)がインスリン抵抗性を改善することが治療効果の中心分子である。糖尿病ではタンパク質のO-β-N-acetylglucosamine (O-GlcNAc)化が増加し、病因となっている。近年、AMPKと O-GlcNAc修飾を触媒するO-GlcNAc転移酵素(OGT)は相互に基質となり、お互いの機能を正負に制御するクロストークが明らかとなった。AMPKが最大限効果を発揮出来れば治療効果を上げることが出来る。本研究では、AMPK/OGTクロストークを詳細に検討し糖尿病治療における運動療法を最大限発揮できるような薬物療法を提案することを目的とする。2020年度は、1)AMPKのOGT作用部位の同定、2)そのAMPK活性への影響、3)各種薬物によるAMPK活性の最大化、そして、4)AMPK修飾薬のAMPK依存的OGTリン酸化(OGTpT444)、OGT活性、タンパク質O-GlcNAc化に与える影響を検討する、事を予定していた。1)については、O-GlcNAc化によりAMPKThr172のリン酸化が低下することから、この部位が予想され、同部位の変異体作成、及び、質量分析等を用いて、今後実験を進める予定である。薬物によるAMPK活性の影響、及びその最大化については、AMPK活性を測定する実験系として、グルコーストランスポーター4(GLUT4)の細胞膜移行を指標とする系を確立した。GLUT4に蛍光分子を融合し、その分子を安定的に発現する細胞株を樹立して、インスリン、AMPK活性化薬等により膜移行が生細胞及び、生化学的に解析できることを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2020年度の計画は、1)AMPKのOGT作用部位の同定、2)そのAMPK活性への影響、3)各種薬物によるAMPK活性の最大化、そして、4)AMPK修飾薬のAMPK依存的OGTリン酸化(OGTpT444)、OGT活性、タンパク質O-GlcNAc化に与える影響を検討する、であった。 1)-3)については、前述のとおり、AMPKのO-GlcNAc部位の推定、及び活性測定系の確立等を行うことが出来たが、4)については、Threonine444以外のOGTリン酸化部位探索中のため、あまり進んでいない。今後、遅れを取り戻すべく、計画を遂行する所存である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、AMPKによるOGTリン酸化に重心を置き、研究を遂行していく予定である。また、次年度の予定にある、トレッドミルを用いた動物実験も積極的に実施する予定である。次年度中に、研究の遅延を取り戻す所存である。
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Causes of Carryover |
次年度の使用額は、一部の予定されていた実験計画、OGTリン酸化部位の同定、及び、抗体作成等の遅延によって生じたものである。次年度は、抗体作成、トレッドミルを用いた動物実験の費用等に使用する予定である。
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