2022 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
20K11353
|
Research Institution | Kurume National College of Technology |
Principal Investigator |
赤塚 康介 久留米工業高等専門学校, 一般科目(文科系), 准教授 (50514006)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 前頭葉 / 運動抑制機能 / 運動強度 / NIRS |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、前頭葉の持つ運動抑制機能に対する運動強度の影響について近赤外スペクトロスコピー(Near-infrared spectroscopy: NIRS)を用いた実験を行った。運動抑制機能を測る方法として、Go/No-go taskを用いた。Go/No-go taskは、2種類の刺激を被験者に無作為に与え、1つの刺激をGo刺激とし、その刺激が呈示された際には被験者が反応動作を実行し、もう一方のNogo刺激が呈示された際には反応動作を実行しない、という課題である。被験者には、二つの実験(安静条件・運動条件)を行ってもらった。安静条件では、まず安静時Go/No-go taskを行い、そのまま15分間座位のまま安静状態を保ってもらい、その後再びGo/No-go taskを行った。運動条件では、安静条件同様にまずGo/No-go taskを行った。その後、10分間の自転車運動を行ってもらい、その後再びGo/No-go taskを行った。このときの運動強度は、30%強度とした。この運動強度を決定する方法として、カルボーネン法を用いた。カルボーネン法は、最大心拍数と安静時心拍数を用いて運動強度を推定する方法である。実験の結果、10分間の自転車運動を行った運動条件では運動の前後でNo-Go刺激に対する反応の増大が見られた。一方、運動を行わずにいた安静条件では安静の前後でNogo刺激に対する反応に変化は見られなかった。先行研究より、ある程度の強度で行われる運動は、ヒトの運動抑制機能に影響を与えていることが分かっている。また、今回の実験ではNIRSを右前頭前野を測定できる部位に設置している。右前頭前野は、ヒトの運動抑制機能の責任部位である。今回の実験により、軽強度の運動においてもヒトの運動抑制機能に影響を与えることが示唆された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナ禍の影響により、実験の実施が遅れていたが今年度実施すことができた。本来であれば、今年度が最終年度であったが今回の実験の結果を論文に投稿し学会で発表するため、研究機関の延長を行うこととなった。
|
Strategy for Future Research Activity |
今回の実験により低強度の運動においても、ヒトの運動抑制機能に影響を与えることが分かった。高齢者や障害者においては、安全に運動を行う必要があるため、より低強度の運動においても前頭葉の持つ機能に対して何らかの効果があるのか証明していく必要がある。また、今回の実験では有酸素運動を用いているので、短時間での無酸素運動においても効果があるのか検証していきたい。
|
Causes of Carryover |
実験の遅れにより、学会での発表ができていなかったため旅費の支出がなかった。次年度に学会への発表等で旅費として使用する予定である。
|