2023 Fiscal Year Research-status Report
地方消滅時代の市町村における地産型スポーツの創造・展開と地方創生の可能性
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20K11355
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
笹瀬 雅史 山形大学, 地域教育文化学部, 教授 (50250907)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 地域課題 / スポーツ環境 / 地域スポーツクラブ / 生涯スポーツ / スポーツ施設 / 地方創生 / ソーシャルキャピタル |
Outline of Annual Research Achievements |
2023年度は、大きく分けて(1)理論的な研究の整理分析と(2)具体的な実態の調査研究の2つの方面の作業を行った。 (1)では、スポーツによるまちづくりと地方創生に関する文献の整理と事例の特徴をまとめた。近年の動向から、地域の人口減少、少子高齢化が進行しており、スポーツ環境やスポーツ活動に大きい影響が出ていること、そうした変化の中で、スポーツ施設や新しいスポーツ組織・団体、また新しい健康運動やニュースポーツなどスポーツ競技種目も社会状況を反映した変化を伴っていることが示唆された。地方創生との関連の検証においては、地域の自然、歴史、経済、教育、文化、ソーシャルキャピタルなどが指標となる。 (2)では、地方市町におけるスポーツ事業の展開として、以下4つのケースの調査研究を行った。1は、学校部活動の地域移行に関する事例研究である。具体的にA県の動向を整理しつつ、学校生徒の意識調査との関係性を検討し課題をあきらかにした。2は、B市の行政の高齢者の介護予防・社会参加のための通いの場の実態調査である。通いの場の効果と課題をあきらかにsた。3は、C市を事例にスポーツ立市を掲げた自治体の調査である。行政とスポーツ団体の関係性、人材の蓄積の重要性が示唆された。4は、地方D県におけるプロスポーツの自立化に関する調査である。財源確立とともに地域貢献の重要性も明確になった。こうした研究から地域のスポーツ事業を、市内地区から県域レベルの範囲で、また子どもから高齢者までの世代の幅で、そしてスポーツ内容を体操、軽スポーツから競技スポーツの幅として重層的な構造として把握することでスポーツの地方創生の可能性を検討する必要があることを確認できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究開始が2020年度であり、コロナウィルスの蔓延した時期と重なったことにより、この該当期間は現地に赴いての調査が実質的に不可能であった。そのためコロナウィルス下の期間は、主として文献資料とその分析、インターネットやメールによる調査研究、また研究機関の近場での実態調査に終始することになった。相手先の自治体やスポーツ団体関係者においても受入れや対応が困難な状況であった。また、別の事情として、応募者の本務において管理的役割の時期が重なったこと、疾病により入院治療するなど個人的事情が生じた。コロナの5類移行した2023年度になって本格的にスタートすることが可能になった。こうした社会的な状況など、やむを得ない事情により研究が遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の推進として、次の2つのアプローチによる研究を計画する。 1つは、主として地方創生の観点から注目できるスポーツ事業を展開している国内の市町村の訪問調査である。都道府県・市町村の行政およびスポーツ団体、スポーツ施設などを対象に行う。市や町をあげてスポーツによるまちづくりに取り組む自治体。施設面では、アリーナなど、新たなスポーツの動向に対する受け皿としての側面や、併せて行政や文化、産業、教育、防災などの多機能型施設に着目する。 2つは、地産型のスポーツを創造・展開している地域を対象にした事例研究である。すでに数十年の歴史を持ち、独自な地域スポーツとして定着しているケースが複数確認できる。そこでは、行政、スポーツ団体、施設、教育・文化・産業などと関連した調査を行う。併せて他市町村や他地域への波及効果も検討する。
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Causes of Carryover |
2023年度はコロナの5類移行がなされた。しかしコロナの影響により国内各地への移動や訪問調査は準備が整わないこともあり見合わせた。その結果主として現地への実地調査を伴う予算を残すことになったため。2024年度は初めて本格的な現地調査が可能となるため、そのための使用を計画している。
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