2020 Fiscal Year Research-status Report
球技における「ホリスティック・コーチング」に関する実践知の解明
Project/Area Number |
20K11357
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
會田 宏 筑波大学, 体育系, 教授 (90241801)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤本 元 筑波大学, 体育系, 准教授 (30454862)
NEMES ROLAND 法政大学, スポーツ健康学部, 講師 (50718997)
山田 永子 筑波大学, 体育系, 助教 (80611110)
東海林 祐子 慶應義塾大学, 政策・メディア研究科(藤沢), 准教授 (80439249)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 球技 / コーチング / 実践知 / Holism |
Outline of Annual Research Achievements |
近年,球技のコーチングでは,競技力を構成する要素を個別に強化し,統合させるという方法ではパフォーマンスを合理的に高められないという認識が広まり,要素間の関連性や調和を重視しながら競技力全体を包括的に高めていく「ホリスティック・コーチング」という方法が新たに芽生え,注目されている。本研究の目的は「ホリスティック・コーチング」を行い,実績を上げている国内外のコーチと,選手の育成強化に関する語りを対話的・共同的に構築し,「ホリスティック・コーチング」で働いているコーチの実践知を現場のリアリティが表現できるように構造化し,次世代を担う若手コーチの育成に寄与できる知見として実践現場に提供することである。 令和2年度(研究初年度)は,まず「ホリスティック・コーチング」を実践している国内外のコーチと,選手の育成強化に関する語りを対話的・共同的に構築できるインタビュー・ガイド(インタビューの標準的な流れ)を作成した。作成にあたって,(1)ハンドボールにおける世界トップレベルの国で行われている育成強化の取り組みとその歴史的変遷について明らかにした。(2)ハンドボールにおける国際大会を対象とした記述的ゲームパフォーマンス分析を通して育成強化の内容について検討した。(3)バスケットボール元日本代表選手を対象としたオンライン・インタビュー調査を通して育成強化の内容について検討した。(4)球技におけるゲーム能力の合理的な養成方法とその研究のあり方について論考した。これら4点の成果は,日本体育学会や日本コーチング学会などで学術論文として発表または口頭発表するとともに,著書として出版した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
令和2年度(研究初年度)は,インタビュー・ガイドの作成の他にも,(1)作成したインタビューガイドを用いて,トップチームを指導する国内コーチを対象に予備調査を行うこと,(2)予備調査結果について,研究代表者と研究分担者が一同に会して検討し,妥当性と信頼性が保証されるインタビュー・ガイドに修正すること,(3)修正したインタビューガイドを用いて「ホリスティック・コーチング」を行っている国内外のコーチにインタビューを行うことを予定していた。しかし,コロナ禍,研究代表者と研究分担者の移動が制限され,対面で行う予定であった上記3点は,いずれも延期せざるを得なくなった。
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Strategy for Future Research Activity |
令和3年度(研究2年度目以降)は,令和3年夏までに新型コロナウィルスの感染状況が収束に向かい,研究代表者と研究分担者が対面で協議ができるようになり,「ホリスティック・コーチング」を行っている国内外のコーチへのインタビューが対面で実施できる目処がたった場合には,当初の遅れを取り戻すように研究を加速させる。しかし,それまでに収束されない場合には,オンラインによるインタビュー調査の方法や内容について検討する。いずれの場合も遅くとも令和3年秋にはインタビュー調査を開始する。 対面またはオンラインによる個別のインタビュー調査が終わり次第,その発言内容を文字におこし,精読,整文化する。その後,事例研究法を用いて発言内容を質的に分析し,インタビュー対象者ごとに実践知に関する個別事例としてまとめ,提示する。 各コーチの個別事例を,共通点および相違点に着目して検討し,「ホリスティック・コーチング」における実践知の構造,それを実践するコーチが獲得すべき能力について,研究代表者と研究分担者とで協議する。 分析が完了した調査に関しては,適宜,日本体育学会や日本コーチング学会などにおいて口頭発表するとともに,学術論文として学術誌に投稿する。また,研究成果をさまざまな球技種目のコーチが共感・共有できる情報としてホームページで公開し,コーチ育成に携わっている研究者や実践現場のコーチと意見交換できる環境を整える。
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Causes of Carryover |
令和2年度に予定していた,トップチームを指導する国内コーチを対象とした予備インタビュー調査,研究代表者と研究分担者が一同に会して行う研究協議,国内外のコーチに対するインタビュー調査は,いずれもコロナ禍により,対面で実施できなかった。そのため,それに係る旅費,謝金,テープ起こし等の経費を執行できなかった。これが,次年度使用額が生じた理由である。令和3年夏までに新型コロナウィルスの感染状況が収束に向かった場合,当初の計画を約1年遅れて実施し,経費を執行する予定である。しかし,収束されない場合には,オンラインによるインタビュー調査の方法や内容について検討し,謝金やテープ起こし等,旅費以外の経費を執行する予定である。
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Research Products
(12 results)