2020 Fiscal Year Research-status Report
New approach to trainability for female athletes: Aiming at bone disease prevention
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20K11370
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Research Institution | Nippon Sport Science University |
Principal Investigator |
黄 仁官 日本体育大学, 体育学部, 教授 (30453939)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 女性アスリート / トレーナビリティ / 骨密度 / 三主徴 / レジスタンストレーニング / 骨疾患予防 |
Outline of Annual Research Achievements |
本採択研究課題は、女性アスリートのリスクとされる「三主徴」を背景にその改善を狙いとして過去(2017~2019)の研究成果(月経異常と骨密度「2018」及び低骨密度のリスクファクターと骨代謝関連ビタミンD受容体遺伝子多型との関連「2019」)を受け、その結論に迫るべく、更なる大規模な骨代謝関連遺伝子解析により女性アスリートにおける骨疾患のリスクを評価する新たな指標づくりの可能性を検討することである。その継続的検討から、女性ホルモンであるエストロゲン受容体遺伝子多型と女性アスリートの低骨密度リスクファクターとの関連性について成果を発表した(2020.9、2021.1)。一方、これまでに女性アスリートにおける骨疾患リスクを定量する指標を環境・遺伝の双方から検討した結果、骨疾患リスクを抱える競技種目や生理指標、遺伝子多型などを見出してきた。しかし、骨疾患を抱えるアスリートのリスクをマネージメントできる手法が確立されておらず、課題が残されている現状がある。そこで骨疾患リスクを最小限にするための手段の一つにレジスタンストレーニングに着目した。女性において骨吸収を抑制するエストロゲンの前駆物質の分泌を促進できるとされており、骨密度増強に好影響が期待できることから、追加検討課題に骨疾患リスクを有する女性アスリートにおけるレジスタンストレーニングが骨密度に及ぼす影響を調査することを目的に加えた。現在、女性アスリートと一般女性を対象にレジスタンストレーニングを約1年間継続的に実施(2021.4開始)し骨密度に与える影響について調査を開始した。今後は、当初予定している女性アスリートの骨疾患リスク改善に繋がる新たな遺伝的及び環境的因子関連サンプル数の確保による解析とレジスタンストレーニング介入実験による骨疾患リスクの改善に繋がるトレーニング指標を検討し、中間報告を2021年9月以後予定している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
前年度(2019年度)迄の研究課題について継続すべき実施内容(新たな遺伝子サンプル拡充と関連測定項目の継続的計測実施の為の新たな対象者の確保とデータ収集・解析)を改め、以後も関連データの分析を行った結果、2020年1月現在において関連研究の追加論文を発表した(同年9月国内学会に関連データ報告)。その後、申請研究課題の新たな採択を待たず研究継続性を感じ、大規模遺伝子多型の解析による骨疾患リスクとの関連性を検討しながら、新たに競技現場における骨疾患リスクの高い競技者への予防及び保持の為のトレーニング指標づくりを目指した長期トレーニング介入実験の必要性が確認された。その為に、関連介入実験を目指した被験者募集を始めた2020年2月からコロナ感染症による影響が拡大する中、調整を続けたが、大学の研究施設の利用制限なども始まり予定の研究遂行が困難となった。その状況で本課題の採択の結果を受けた。2020年4月現在は、コロナ感染症拡大による非常事態宣言下でもあり、益々予定した計画通りの研究実施が困難な状態が続き、同年6月になって少しずつ研究遂行可能な範囲が広がりを見せた7月より当初予定していた新たな対象者の遺伝子サンプル拡充及びトレーニング介入実験の為の対象者の募集を開始した。しかし、感染症による影響でWeb上での被験者への対応や募集は予想以上に苦戦が続き、介入実験を始める為の対象者40名が決まったのは2021年1月末となった。以上の経過状況により、トレーニングの介入実験開始が2021年3月となり、進行状況としては1年近くスタートが遅くなったが、5月現在は介入実験を開始して2か月を向えており、新たな対象者の遺伝子解析の為のサンプル拡充の為の現場へのアプローチも終わったところである。現段階では、順調に進めば研究中間報告を2021年9月~10月中に専門学会を通じて報告することを目標としている。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は、女性アスリートの骨疾患に対するリスクのトレーナビリティの構築を狙いとしており、その為の研究成果はこれまで遂行してきた研究成果及び更なる関連に関する追跡研究が求められることから、現在は女性アスリート骨疾患予防に繋がる可能性を骨代謝関連遺伝子(ビタミンD受容体とエストロゲン受容体の両遺伝子多型に加え、体組成や身体能力関連遺伝子)と定期的(年2回の測定・調査)の実施はコロナ感染症の問題で1年近く遅れてはいるが、2021年3月現在各競技種目に引き続き研究継続の協力の調整中や既に調整が終わって今後定期的な調査は可能となっている。尚、これまでの研究成果より新たに骨疾患リスクの高い競技種目の女性アスリートに骨形成に好影響をもたらす可能性の高いレジスタンストレーニングの効果に関する介入実験も既に2ヶ月が過ぎており、今後開始5か月時点での調査測定(介入実験開始時に行った全項目:身体組成「DXA法による骨密度、脂肪量、除脂肪量、体脂肪率」、基礎体力「握力、背筋力、立ち幅跳び、長座体前屈、自転車ペダリング」、血液性状「一般生化学的検査、血液学的検査、内分泌学的検査」及び日々の生活状況「栄養、睡眠、月経等」をモニタリング)の準備を終えており、成果としてアスリート及び一般女子学生のトレーニング介入群とコントロール群の途中(結果を2021年9月~10月学会発表予定)・年間変化率における比較分析を実施し、最終的な研究成果として論文発表(2022年9月~2023年3月)を計画している。
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Causes of Carryover |
本課題採択時は、コロナ感染症拡大の影響により国から緊急事態宣言を発出され研究実施に必要な大学の施設使用停止をはじめ、対象者(学生)への実験継続に対するデータ収集や新たな介入実験の被験者募集など中止又は延期を余儀なくされた。コロナ感染症が少し納まりを見せた2020年5月末より可能な範囲で準備を始め、介入実験に必要な対象者募集を何とか同年末までに終えた。以後、研究倫理規定に準じ説明会を実施、2021年3月迄調整を終え、課題遂行2年目の2021年4月より実験がスタートし現在に至る。従って、課題遂行の為の開始1年目に計上した経費160万円(直接経費)中、4分の1に当たる金額の46万円程しか使用していないのが現状である。現在もコロナ感染症の拡大による影響は大きいものの、4月開始のトレーニング介入実験は順調に進んでおり、研究開始が遅れたことによる1年目の未使用経費(被験者謝礼、検者謝礼及び消耗品など)に関しては、2年目の研究経費と合わせて使用の予定であり、その使用経費の計画も調整済みである。今後もコロナ感染症の影響は少なからずあることを予測しており、大学の施設がすべて使用中止に追い込まれることや、研究対象者の全員から研究遂行に関して中止を求められる要件以外は、細かな調整は必要と思われるがそれぞれの社会的変化や情勢に合わせて臨機応変に対応し当初予定の研究目的は遂行し成果を挙げる計画である。
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