2021 Fiscal Year Research-status Report
New approach to trainability for female athletes: Aiming at bone disease prevention
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20K11370
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Research Institution | Nippon Sport Science University |
Principal Investigator |
黄 仁官 日本体育大学, 体育学部, 教授 (30453939)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 女性アスリート / トレーナビリティ / 骨疾患予防 / 骨密度 / 骨代謝関連遺伝子 / レジスタンストレーニング |
Outline of Annual Research Achievements |
本採択課題は、女性アスリートのリスクとされる「三主徴」を背景にその改善を狙いに過去の研究成果を受け、更なる大規模な骨代謝関連遺伝子解析及びトレーニング介入実験により女性アスリートの骨疾患リスクを評価する新指標づくりの可能性を検討することである。その継続的検討から、女性ホルモンであるエストロゲン受容体遺伝子多型と女性アスリートの低骨密度リスクファクターとの関連性を成果発表した(2022年3月迄論文4編、学会報告2回)。一方、これまで女性アスリートにおける骨疾患リスクを定量化する指標を環境・遺伝の双方から検討した結果、骨疾患リスクを抱える競技種目や生理指標、遺伝子多型等を見出してきた。しかし、骨疾患を抱えるアスリートのリスクをマネジメントできる手法が確立されておらず、新たな課題が残った。 そこで2021年度より新たに骨疾患リスクを最小限にする為の手段の一つに高強度レジスタンストレーニングに着目した。女性において骨吸収を抑制するエストロゲンの前駆物質の分泌を促進できるとされており、骨密度増強に好影響が期待できることから、追加検討課題に骨疾患リスクを有する女性アスリートの高強度レジスタンストレーニングが骨密度に及ぼす影響の調査を加えた。現在、女性アスリートと一般女性を対象に高強度レジスタンストレーニングの介入実験(2021年5月~2022年1月)を実施、実験・調査を終了した。 今後、当初予定していた女性アスリートの骨疾患リスク改善に繋がる新たな遺伝的及び環境的因子の更なるサンプル確保・解析と、現在終了している高強度レジスタンストレーニング介入実験から得られたデータ解析中である。新たな研究デザインを含む結論を専門学会にて報告すると共に、これまでに得られた全データ解析を実施し、骨疾患リスクの改善に繋がるトレーニング指標を検討し、2022年12月を目処にその可能性について結論を求める。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
過去(2017~2019採択課題)の研究成果から継続的又は新た試みる内容を含め、現在遂行中の採択研究課題(2020~2022年度)の現在(2022年4月現在)まで、継続すべき現場レベルの実施内容(更なる遺伝子サンプル拡充と関連測定項目の計測実施の為の対象競技種目の新たな対象者の測定実施、関連基礎確立の為の介入実験の実施などのデータ収集・分析)を実施した。その間において得られた関連データの解析等を実施し、2022年4月現在まで関連研究成果を学会報告及び論文等に発表した(学会2回 :日本体力医学会2020年9月第75回、2021年9月第76回報告、論文3篇発表:Women’s Health Reports 2021年2月海外、運動とスポーツの科学2022年3月、同ジャーナル2022年4月国内)。 現在は、大規模関連遺伝子多型の解析による骨疾患リスクとの関連性を検討しながら、先年度より新たな試みとして開始した介入実験(トレーニング現場における骨疾患リスクの高い競技者への予防及び維持の為のトレーニング指標づくりを目指した長期トレーニング介入実験)の第一段階の実験を終了したところであり、その成果を今年度中に専門学会へ報告するべく、データを解析中である。 尚、2022年5月現在は研究課題の最終年度でもあり、これまでの成果を総合的にまとめ研究期間にて得られた研究結論として国内外への専門学会を通じて既に論文報告済み、さらには進行中であり、本研究期間の終了までには更なる研究の必要性も同時に追求する新たな研究デザインを企画中である。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は、女性アスリートの骨疾患に対するリスクのトレーナビリティの構築を狙いとしており、その為の研究成果はこれまで遂行してきた研究成果及び更なる関連に関する追跡研究が求められることから、現在は女性アスリート骨疾患予防に繋がる可能性を骨代謝関連遺伝子(ビタミンD受容体とエストロゲン受容体の両遺伝子多型に加え、体組成や身体能力関連遺伝子)と定期的(年2回の測定・調査)の実施はコロナ感染症の問題で少々遅れてはいたが、2021年度中に新たに計画していた「骨疾患リスクの高い競技種目の女性アスリートに骨形成に好影響をもたらす可能性の高いレジスタンストレーニングの効果」に関する介入実験も既に終了し、2022年4月現在において既に関連論文4編及び学会報告2回の報告を済ましている。 今後は、2022年1月中に終了した新たな試みとして行った介入実験「アスリート及び一般女子学生のトレーニング介入研究」結果の解析が進んでおり、最終的な研究成果として論文作成中で成果発表・報告(2022年9月~2023年3月)を実施する計画である。
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Causes of Carryover |
コロナウイルス感染症の拡大の影響により研究実施に必要な大学内の研究施設使用停止をはじめ、対象者である大学の各部に所属しているアスリート(学生)への実験継続に対するデータ収集や新たなトレーニング介入実験も被験者の募集など研究採択当初(2020年度)は延期を余儀なくされたが、2021年度に入り遅れを取り戻すべく新たに設けたデザイン通りの実験などを順調に実施することができた。その結果、その間に得られた研究データを分析まとめことも順調に進み、2021年度末には関連成果報告(2022年2月現在、海外ジャーナルへの投稿・査読調整が進行中)を進める中において、論文の採択までには至らず論文投稿費用として準備していた経費(金額20万円程)を残したまま2022年度に持ち越すこととなった為、2022年4月現在では昨年度の持ち越した分の費用は予定通り、関連投稿論文採択を持って支払いを予定している。尚、最終年度に計上した経費に関しても現在作成進行中の投稿論文の費用や関連学会での研究報告発表の為の出張費などの経費として計画通り遂行する計画である。
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