2020 Fiscal Year Research-status Report
The relationship between effects of cryotherapy on post-exercise recovery and long-term training adaptations
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20K11378
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Research Institution | Aichi Mizuho College |
Principal Investigator |
山根 基 愛知みずほ大学, 人間科学部, 准教授 (50410634)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大西 範和 三重県立看護大学, 看護学部, 教授 (20176952)
山下 剛範 鈴鹿医療科学大学, 保健衛生学部, 准教授 (10410937)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | アイシング / 皮膚温 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究のアイシングで用いる定温材は、固体から液体に相転移する際の融解熱を接触する物体から奪う特性がある。初年度は、その定温材で皮膚を冷却し、皮膚温の推移を観察することによりこれらの定温材が目標とした温度を一定時間維持できるか否かを検討した。 被検者は大学生男女27名とし、性別毎にランダムにアイシングを行わない群(非冷却群)、約10℃に皮膚温を保つ定温材を用いてアイシングを行う群(10℃冷却群)、約20℃に皮膚温を保つ定温材を用いてアイシングを行う群(20℃冷却群)の3群に分けた。被検者は人工気候室に入室後、非利き腕で約10分間のダンベルカール運動を行った。運動負荷は8Repetition Maximumとし、8回を2分間毎に5セット行った。その後、被検者の両腕上腕二頭筋上の3箇所にサーミスタ温度計を貼付し、約10℃及び約20℃になるよう調整された定温材を装着した。非冷却群では、対照としてサーミスタ温度計のみを装着した。被検者はその後20分間椅座位安静状態を維持し、その間皮膚温を連続的に測定した。また、事前に上腕二頭筋筋腹上の皮下脂肪厚を栄研式キャリパーで測定した。 皮膚温は、非冷却群については約32~33℃、10℃冷却群については約8~11℃、20℃冷却群では約20~22℃の範囲にそれぞれ低下し、その後一定を維持した。また、3群すべてで皮膚温は運動負荷側が非運動負荷側より有意に高かった(p<0.05)。20℃冷却群では、上腕二頭筋の皮下脂肪が厚いほど皮膚温の実験終了前10分間の3部位の平均値が有意に高かった(p<0.05)。 運動負荷側では、骨格筋による熱産生増加による筋温の上昇や皮下脂肪の断熱性が、定温材の冷却効果に影響を及ぼすと考えられた。しかし、それぞれの定温材で実験中は一定の温度を維持でき、皮膚温の維持効果は明確に示されており、当該定温材の有用性は高いと考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新型コロナウイルス感染症のため、実験の開始は若干遅れたが、その後、実施可能な期間を有効活用し初年度の計画を進めることが可能となった。計画初年度は、本研究課題でアイシングに用いる予定の定温材における皮膚温冷却維持効果を検証した。運動後の定温材適用により、目標とした温度で皮膚温が一定時間維持することができ、当該定温材の有用性が確認された。したがって、計画通り次年度以降にこちらの定温材を用いて実験を進めることが可能となっている。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度の計画において、本研究でアイシングに用いる定温材の皮膚温冷却維持効果が検証できたため、次年度以降はこちらの定温材による運動後活動筋冷却の短期的なリカバリー効果と長期的な適用の影響を観察していく予定である。ただし、未だ新型コロナウイルス感染症の影響がみられるため、実験は感染対策を徹底させて実施する。そのため、当初の計画通りに進行できない可能性も考えられ、対象者数の見直しなどを検討課題としている。当初計画の2021年度実験では対象者を30名としていたが、感染症対策などのため10~15名程度で進める予定である。実施内容を以下に示す。 被検者は一般大学生12名とする。筋力トレーニングは、ダンベルを用いてアームカール運動を実施する。毎回のトレーニングは非利き腕で8 Repetition Maximumの運動負荷強度で8回を5セット、週3回の頻度で8週間にわたり実施する被験者は運動後に活動した上肢の上腕部を約10℃の温度に設定された定温剤を用いて20分間冷却を行う10℃冷却群4名、約20℃の温度に設定された定温剤を用いて20分間冷却を行う20℃冷却群4名、冷却を行わない非冷却群4名の3群に無作為に割り付ける。毎回トレーニングの際に負荷強度、実施回数、 DOMSの程度、周径、疲労感などを調査し、アームカール運動の最大挙上重量を測定する。トレーニング期間の前後に、肘関節屈曲による等尺性最大収縮時の筋力、電子走査形超音波断層装置および磁気共鳴画像(MRI)装置を用いて上腕屈筋群の筋厚および筋横断面積を測定する。
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Causes of Carryover |
トレーニング実験で使用する超音波断層装置を備品で購入したが、予定していた予算より購入費が若干低くなったため、僅かに残額が生じた。2020年度は、新型コロナウイルス感染症対策などの影響により次年度以降の実験準備が少し遅れていたため、残額は次年度の実験準備に用いることとした。
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Research Products
(1 results)