体操競技の跳躍板における踏み切りに適した範囲の解明

2021 Fiscal Year Research-status Report

• Project/Area Number: 20K11382
• Research Institution: Gifu City Women's College
• Principal Investigator: 佐野 真也 岐阜市立女子短期大学, その他部局等, 准教授 (00461880)
• Project Period (FY): 2020-04-01 – 2023-03-31
• Keywords: スポーツ工学 / スポーツバイオメカニクス / 跳馬 / 踏切動作 / 力学特性

Outline of Annual Research Achievements

体操競技のトレーニング現場では，“跳躍板はどの辺りを踏み切るのが良いか”という疑問が持たれることが多い．本研究では，跳躍板の力学的な特性に基づいて踏み切りに適した範囲（位置と広さ）を解明し，現場に対して根拠ある有用な示唆を与えられるようにすることを目的としている．
跳躍板のどこを踏み切ればよいかということの根拠を示すことができれば，より効率的で安全なトレーニングやパフォーマンス向上への貢献が可能となる．さらに，将来的に新たな跳躍板が登場した際には，本研究で確立する特性試験を用いて踏み切りに適した範囲を事前に予測することが出来るため，持続的な貢献が可能となると期待される．
跳躍板での踏切動作は衝突現象であり，力学的特性を調べるためには，現実に近い状況（衝撃力の大きさ，衝突時間など）で試験を行う必要がある．本研究では，跳躍板に重錘を落下させるという方法で試験を行うことから，重錘の質量と落下高が，現実に近い状況を再現できるかを決定する要因となる．
令和3年度は，前年度に作成した重錘落下衝撃試験装置を用い，重錘と落下高の組合せ条件を様々に変えて試験を行った．組合せの候補は前年度にある程度絞り込んであったが，更に詳細に試験と検討を進めていった．跳躍板へ加わる衝撃力のピーク値，衝突時間，エネルギー損失率などを基に検討し，現実に近い状況を再現できる妥当な試験条件がどのようなものかの結論に至っている．

Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

前年度に新型コロナウイルス感染症拡大の影響で研究費の執行開始時期が遅れ，特注の試験装置の完成までに非常に時間を要した．装置完成後，試験を実施できるようになってからは若干の遅れはあるものの概ね順調に進んでいるが，試験開始時期の遅れを取り戻すには至っていない．

Strategy for Future Research Activity

現実に近い状況を再現できると考えられる試験条件を見出したため，跳躍板表面の様々な位置で試験を実施していく．試験で得られたデータを基に部位毎に力学特性を明らかにし，その分布状況によって踏み切りに適した範囲を解明していく．

Causes of Carryover

参加を計画していた学会大会に感染症拡大の影響で参加できなかったことなどにより次年度使用が生じた．次年度には，あらためて学会大会へ参加することと実験機器の購入で使用していく予定となっている．