2021 Fiscal Year Research-status Report
スポーツ科学の糖尿病運動療法への応用-骨格筋・脳インスリン抵抗性を指標にして
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20K11386
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
小池 晃彦 名古屋大学, 総合保健体育科学センター, 教授 (90262906)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
都築 孝允 名城大学, 薬学部, 助教 (20780068)
坂野 僚一 名古屋大学, 総合保健体育科学センター, 准教授 (80597865)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | アリュロース / 有酸素運動 / 希少糖 / 高インスリン正常血糖クランプ法 / 運動模倣薬 |
Outline of Annual Research Achievements |
運動を模倣する効果をもつ栄養素あるいは薬物は、生活習慣病や老化を予防する可能性がある。希少糖アリュロースを用いた検討では、高ショ糖食と高脂肪食誘発肥満ラットモデルにおいて、高インスリン正常血糖クランプ法と骨格筋細胞内シグナルを解析することで、骨格筋でのインスリン抵抗性を改善すること、その機序には、内臓脂肪の減少にともなう慢性炎症抑制効果が関与することを報告した。一方で、高ショ糖食と高脂肪食肥満モデルでの知見を比較することで、アリュロースの効果には、肥満改善とは独立した機序もあると考えられる。アリュロースは、果糖のエピマーであり、甘味料に含まれる高果糖摂取に対する効果とも合わせて検討することがその機序を明らかにする上で有効である。 私たちは、普通食で飼育したマウスモデルにおいても、アリュロースがインスリン抵抗性を改善することを示すデータを得ている。さらに、アリュロースが、マウスの運動持久力、消耗運動後の疲労回復能などの運動パーフォーマンスをあげることを報告した。このアリュロースの効果の機序は、骨格筋細胞内のシグナル解析の検討より、有酸素トレーニングと共通していると考えられる。筋・肝臓へのグリコーゲン貯蔵増加や遊離脂肪酸の利用増加によるエネルギー産生の効率化が機序として挙げられるが、私たちの研究で示されたアリュロースによる運動能亢進においては、後者の関与が重要であることが示唆された。これらの知見は、アリュロースが糖代謝の改善にとどまらず、運動能の向上や、運動模倣薬としての作用、さらには、抗老化作用を有する可能性を示している。運動とアリュロースの併用は、これらの作用を効果的に高めることが予想される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
高ショ糖食、高脂肪食負荷による肥満モデルでのアリュロースによるインスリン抵抗性改善作用に加え、アリュロースの運動模倣薬としての可能性を明らかにできた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、アリュロースが、異なる栄養素による代謝異常や運動トレーニング効果に与える影響をより詳細に検討していくことで、その有効性や利用方法を明らかにする。運動模倣薬としての可能性もあり、運動による効果との比較、運動との併用効果、その効果のメカニズムについて検討をすすめる。
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Research Products
(8 results)