2021 Fiscal Year Research-status Report
ヒトとモノの定量化による剣道の打突パフォーマンスの解析
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20K11391
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Research Institution | National Institute of Fitness and Sports in Kanoya |
Principal Investigator |
與谷 謙吾 鹿屋体育大学, スポーツ生命科学系, 准教授 (10581142)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 剣道 / 竹刀 / 筋電図 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、剣道における打突パフォーマンスをヒト(競技者など)とモノ(竹刀)の観点から総合的に評価し、打突パフォーマンス向上のための知見を模索することを目的とした。その目的に対して、先ず、竹刀は前方へ振り下ろされる際、移動方向と逆側へしなり(撓み)を呈すことが明らかになっている。しかし、この知見は半機械的、かつ単純な実験モデルで明らかになった現象であり、実際にヒトが操作する際にも同様の竹刀の撓みの傾向を示すのかは明らかになっていない。そこで本研究は、剣道競技者および剣道未経験者を対象に、素早く打突動作を行った際の打突場面における竹刀の撓み量を調査することに加え、上肢の筋活動様式と撓み量との間で関連性があるのかについて明らかにすることを目的とした。 課題で用いる竹刀は胴張型とし、全ての被験者(剣道群、非剣道群)には打ち込み台から1mの位置で端座位姿勢で竹刀を把持させ、右肘関節を一定にした状態から自身のタイミングで可及的速やかに打突を10回行わせた。その際、被験者に取り付けた左右上腕二頭筋(L-BB, R-BB)、右上腕三頭筋(R-TB)の表面筋電図、右肘関節角度、並びに竹刀に貼り付けたストレインゲージセンサの信号を記録し、竹刀の撓み量、並びに上肢の筋活動のタイミングと筋放電量(%RMS)を計測した。その結果、竹刀の撓み量は、両群間で同程度の値を示し、概ね移動方向と逆側への撓みを呈した。一方、撓み量と上肢の筋活動様式との関連については、剣道群でのみ観察され、撓み量との間で、筋活動様式のタイミングにおけるブレーキのR-BBの活動と統計的に有意な正の相関関係を示し(P<0.05)、また、%RMSのR-TBとの間で統計的に有意な負の相関関係を示した(P<0.01)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在までの計画に大きな変更はなく、当初の内容に沿った取組みで研究を遂行できている。そのため、本年度までの達成度を「概ね順調に進展している」と自己評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、これまでの結果を基にヒトとモノの間で関連性が認められた剣道競技者を対象に、筋電図(EMG)フィードバック法を用いてヒトの筋活動を変化させつつ、それに伴ってモノの状態(撓み)も変化させることができるのかを明らかにする予定である。さらに、次年度においても、未だコロナの終息の目途がたっていないため、実験などを行う際は、被験者などの安全確保に十分注意しながら、計画を完遂できるよう努めていく。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染拡大の影響により、学会等の外部イベントが延期あるいは遠隔(Web開催)になり、旅費等の次年度使用が生じた。今後、その使用額の多くは使用機器の破損等による修理の場合を除いて、消耗品に当てる予定である。また、その他、これまで得られた成果の論文執筆に係る費用や、可能であれば発表に係る費用(旅費)に計上する予定である。
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