2022 Fiscal Year Annual Research Report
反復低酸素暴露と高気圧暴露が骨格筋代謝機能および運動パフォーマンスに及ぼす効果
Project/Area Number |
20K11410
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Research Institution | Hokkaido University of Education |
Principal Investigator |
鈴木 淳一 北海道教育大学, 教育学部, 教授 (80261379)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 間欠低酸素暴露 / 高気圧暴露 / 運動トレーニング |
Outline of Annual Research Achievements |
これまで、高気圧酸素カプセル(1.3気圧)や短時間の間欠低酸素暴露が、マウスにおける持久的運動能力を高めることを報告してきた。本研究では、その両者を同日に実施することでさらなる持久力に寄与するかどうかを観察した。その結果、幼若期からトレーニングを積んだマウスにおいて、腓腹筋の白色部位(Gw)において、間欠低酸素暴露+高圧暴露(LOHYP)群のHAD活性が他群よりも有意に高い値を示した。足底筋(PL)のCPT2活性がLOHYP群で他群より有意に高い値を示した。また、ヒラメ筋(SOL)のCPT2活性はHT群よりも有意に高い値を示した。GwのCOX活性は、すべての運動群で顕著に増加していたが、LOHYP群の値は安静群よりも有意に高い値を示した。これらのことから、LOHYPによって特に速筋タイプの筋において、有酸素代謝能力、特に脂肪酸代謝能力が向上することが示唆された。LOHYP群でHSP70タンパク質の発現がSOLにおいて、他群よりも顕著に高い値を示した(2.3-4.4倍)。PLにおいて、HSP70は安静群よりもLOHYP群で5.8倍有意な増加が観察された。このことから、LOHYPによって骨格筋のHSP70発現が亢進し、運動後の筋損傷回復に効果がある可能性が示唆された。腓腹筋の赤色部位(Gr)において、LOHYP群のtype-I筋線維がSed群とHT群よりも有意に増加していた。毛細血管数:筋線維数比(C:F)値は、腓腹筋赤色部位においてSed群よりもLOHYP群(25%)において有意な増加が観察された。以上の結果より、高圧暴露と短時間の間欠低酸素暴露をトレーニングに組み込むことによって、骨格筋の脂質代謝の向上とともにミトコンドリアの酸化的リン酸化が向上することで、持久的運動能力が顕著に向上することが本研究によって明らかとなった。
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Research Products
(5 results)