2022 Fiscal Year Research-status Report
持久的運動効果の減弱化のメカニズム解明とその解決策
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20K11417
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Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
星野 太佑 電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 准教授 (70612117)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 冷却 / 骨格筋 / 筋収縮 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまで,遺伝子発現に着目して,冷却による持久的運動の効果の減弱化のメカニズムを検証してきた.今年度は,収縮中の冷却がタンパク質合成に与える影響に着目し検討した. Wistar系雄性ラットを常温群と冷却群にわけ,常温群は水, 冷却群は氷水の入った袋を用いて,右脚の下腿前部を3分間冷却した. その後, 前脛骨筋を20 Hzにて1秒間電気刺激, 1秒間休息を30回繰り返すプロトコルを1セットとし, これを10セット実施した. 筋収縮2.5時間後にpuromycinを腹腔投与し, 3時間後に両脚の前脛骨筋を摘出した.摘出した筋から,whole proteinと抽出したミトコンドリアのサンプルに対して,puromycin抗体を用いたウエスタンブロッティングを実施することで,タンパク質合成速度を定量化した.その結果,whole proteinを用いて定量化した場合,非収縮脚に対する収縮脚のタンパク質合成速度の増加率に,冷却による有意な違いはみられなかった.次に,抽出したミトコンドリアサンプルを用いて,ミトコンドリアのタンパク質合成速度を定量化した.抽出したミトコンドリアサンプルの妥当性については,細胞質やミトコンドリアのタンパク質をwhole proteinのサンプルと比較することで確認した.定量化した結果,非収縮脚に対する収縮脚のミトコンドリアタンパク質合成速度の増加率が,冷却により低下する傾向がみられた (p=0.055).これらの結果から,冷却は筋収縮後のタンパク質全体の合成速度には影響を及ぼさないが,ミトコンドリアのタンパク質合成速度を低下させる可能性が示唆された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
現在,成果を論文としてまとめて投稿しており,査読中となっていることから,ある程度研究は推進できていると考えられる.一方で,今年度の研究実績の概要から,冷却を伴う筋収縮は,運動によるミトコンドリア適応を阻害する可能性が示唆されたが,動物の個体数がまだ十分ではないため,実験をさらに追加する必要があると考えられた.
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Strategy for Future Research Activity |
上述したように,冷却を伴う筋収縮は,骨格筋の持久的運動による効果を抑制する可能性が,明らかとなった.しかしながら,抽出したミトコンドリアのタンパク質合成速度の検証実験は,動物の個体数がまだ少ないため,実験を追加する必要がある.
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Causes of Carryover |
再度,対面での学会開催が延期となったこと,さらに,現在投稿中の論文掲載に際して,追加実験が要求される可能性があるため,使用計画が生じた.
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Research Products
(2 results)