2023 Fiscal Year Annual Research Report
内受容感覚の気づきと感覚運動制御に着目した身体所有感の包括的理解
Project/Area Number |
20K11423
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Research Institution | Kyorin University |
Principal Investigator |
渋谷 賢 杏林大学, 医学部, 准教授 (30406996)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中本 浩揮 鹿屋体育大学, スポーツ人文・応用社会科学系, 准教授 (10423732)
畝中 智志 北翔大学, 生涯スポーツ学部, 准教授 (50822946)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 身体所有感 / 感覚運動制御 / 身体錯覚 / 心拍誘発電位 / 自己意識 / 脳波 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和5年度は,①脳波実験(18名)および②知覚実験(20名)を実施した.①人工手に身体所有感が生じるラバーハンド錯覚は,ミラーやVRの環境を用いると,実際の手とラバーハンドが同じ空間に置かれた場合でも生じることが知られている.今回の事件では,脳波計測とミラー環境を利用して,2本の手を撫でる視触覚刺激を呈示の有無下で身体化(非身体化)したラバーハンドの動きを観察中のμ波(8-13Hz)抑制を比較した.この実験では,ラバーハンドに対する身体所有感は身体の視覚的連続性(ラバーハンドの前腕の有無)で操作された.身体所有感に依存したμ波抑制(前腕有りvs無し)は視触覚刺激が呈示されたときに観察された一方,単にラバーハンドを見る条件では生じなかった.このような結果はラバーハンドの動きの起こる前の身体表象(トップダウン処理)と視覚触覚入力(ボトムアップ処理)の相互作用が動きの観察中の感覚運動の活性化を生み出している可能性を示唆している.②身体化したラバーハンドの動きの観察が被験者の(模倣)運動の生成に及ぼす影響を調べた.被験者はブラシによる視触覚刺激呈示後(約20秒:同期vs非同期)にラバーハンドの示指が挙上したとき,素早く自己の示指を挙上するよう求められた.示指の反応時間およびキネマティクス(速度と加速度のピーク値)が解析された.その結果,反応時間のみ同期条件(錯覚条件)の方が非同期条件(非錯覚条件)よりも有意に速かった.さらに,反応時間は身体錯覚の強さおよび固有感覚ドリフトと有意な相関を示した.研究期間全体を通して,内受容感覚の気づき(本研究では,心拍誘発電位)と身体所有感(ラバーハンド錯覚)の間に顕著な関連性を見出すことはなかった一方,身体所有感と感覚運動制御の関連性については,新たな知見を得ることができた.
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