2022 Fiscal Year Research-status Report
低換気トレーニングは,低酸素トレーニングの代替手段となりうるか?
Project/Area Number |
20K11431
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Research Institution | Yamanashi Gakuin University |
Principal Investigator |
中垣 浩平 山梨学院大学, スポーツ科学部, 准教授 (30549473)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
今 有礼 東洋大学, ライフデザイン学部, 教授 (00455445)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 息止め / 酸素飽和度 / 低換気 |
Outline of Annual Research Achievements |
標高2800 m程度の高地環境において,低強度ランニングを実施すると,経皮的動脈血酸素飽和度(SpO2)は80 %台まで低下する.一方,通常環境下において低―中強度運動を行う場合,SpO2が90 %以下に低下することはほとんどない.また,最大努力で運動を実施した場合,非鍛錬者では,90 %を下回ることは少ない.Woorons et al.(2014)は,運動中に随意的な呼吸制限(安静時呼気位まで息を吐いた後に極力息を止め、吸気の直前に残りの空気を吐ききり,その後に吸気を繰りかえす)により,クロール泳中のSpO2が89 %まで低下したと報告した.このように,随意的な呼吸制限は,SpO2を低下させ,平地環境において高地・低酸素環境を容易に再現できる可能性がある.そこで本研究では,低―中強度ランニング中の随意的な呼吸制限が生理応答に及ぼす影響を明らかにすることを目的とした. 男子学生10名を対象に,通常呼吸(Nor)条件と随意的に呼吸制限をした(Hypo)条件の2条件でトレッドミルランニングを実施し,その際の生理応答を比較した. 運動時のSpO2は,Nor条件と比較してHypo条件では有意に低値を示した.また,運動時の主観的運動強度は,Nor条件と比較してHypo条件では有意に高値を示した.一方,血中乳酸濃度には,条件間に有意差は認められなかった. 本研究の結果,低―中強度のランニングにおいても,自発的な呼吸制限は有意にSpO2を低下させることが明らかとなった.また,呼吸制限に伴う主観的運動強度の増加は,二酸化炭素分圧の上昇に起因すると推察された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
コロナ禍の影響により,2020年度及び2021年度は研究の実施が大幅に制限された.2022年度は,コロナウィルス感染症予防に留意しながらも実験を実施することができたが,2年間の遅れを取り戻すには不十分であった.
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Strategy for Future Research Activity |
当初は,トレーニング実験によって低換気トレーニングの効果を検討する予定であった.しかし,コロナ禍の影響により,一過性の生理応答の検討が十分にできていないことから,引き続き今年度も一過性の生理応答の検討を実施する. なお,コロナ禍の期間において,心拍変動解析について知見を深めた.当初の計画には無かったが,今年度は一過性の呼吸制限を伴う運動が,心拍変動に及ぼす影響についても検討する予定である.
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Causes of Carryover |
当初購入を計画していたパルスオキシメータのセンサーが,在庫不足により入手できなかったため,次年度使用額額が生じた.今年度は該当センサーを購入できる見込みである.
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