2022 Fiscal Year Annual Research Report
手掌へのアイシングにより肩の投球障害は予防できるか?
Project/Area Number |
20K11433
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Research Institution | Chubu University |
Principal Investigator |
宮下 浩二 中部大学, 生命健康科学部, 教授 (40403604)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 投球障害 / アイシング / 手掌 / 肩筋力 / 肩可動域 / 投球動作 / 障害予防 / 熱中症 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は3年間、手掌へのアイシングによる投球障害予防の効果を明らかにすることを目的として実施した。1年目の基礎的研究によって関節可動域や筋力の低下を防止する可能性が示された。2年目は、試合を想定して手掌へのアイシングの効果を分析した。試合後半で投球動作おける肘下がりは6割の対象で防止できた。 3年目の研究では、大学硬式野球投手を対象として、野球の現場で手掌へのアイシングの介入を行い、その実際の効果を検証した。対象は大学野球部投手36名とした。選手個々に手掌アイシング用アイテムを配布した。2022年6月~8月の2ヶ月間使用させた。8月末に選手に、googleフォームで自覚的効果(「肩・肘」と「全身」)を聴取した。その結果として、「肩、肘の『張り』が出にくい」が5名14%、「肩、肘の可動域が制限されにくい」が3名8%、「肩、肘の痛みが出にくい」2名6%、「肩、肘の筋力低下が生じにくい」1名3%などであった。全身への効果としては「熱中症になりにくい」24名67%、「全身の疲労がとれる・溜まらない」17名47%、「全身の熱が抜ける感じ」10名28%、「快適に眠れる」3名8%などであった。「効果なし」は22%だった。投球障害に関連する運動器への効果は決して多くはないが、一定の効果はみられた。熱中症予防や疲労回復など、全身のコンディションに対しては多くの選手で効果がみられた。 3年間の研究において、手掌へのアイシングにより、投球による肩の機能低下を防止し、投球動作の悪化を抑制できる可能性があることが示された。そして現場においても直接的な効果のみならず、熱中症など全身のコンディションを維持することで、障害予防の効果が得られる可能性も示された。ただし、アイシングについては一律の方法によって全員に効果が得られるのではなく、個々によって適切な方法が異なることが考えられる。
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