2020 Fiscal Year Research-status Report
三次元培養筋におけるコレシストキニン遺伝子発現制御および分泌動態の解明
Project/Area Number |
20K11434
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Research Institution | Osaka Institute of Technology |
Principal Investigator |
中村 友浩 大阪工業大学, 工学部, 教授 (30217872)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北村 憲司 広島大学, 自然科学研究支援開発センター, 准教授 (40214811)
藤里 俊哉 大阪工業大学, 工学部, 教授 (60270732)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 三次元培養筋 / コレシストキニン / 低酸素 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度は、マウス筋細胞株C2C12におけるCck遺伝子の発現動態を再検証した。その結果、平面培養条件によっても増殖期から分化期にかけて発現が上昇することが明らかとなり、3次元化培養条件では、その構成的な発現上昇が増殖期から維持されていることが示唆された。先行研究から、平面培養系での分化条件では、低酸素特異的な転写因子であるHif1aをsiRNAで阻害すると筋分化が抑制されることが明らかとなっていることから、Hif1a siRNAによるCck遺伝子の発現が筋分化抑制による影響を受ける可能性もある。そこで、当初の実験計画を一部変更し、まず、常酸素環境下でHif1aタンパク質を安定化したときのCck遺伝子の発現を検証した。平面培養条件で増殖期および分化期におけるC2C12に対して100μMの塩化コバルトを添加したところ、Hif1aターゲット遺伝子の発現は上昇することが明らかとなった。また、三次元培養条件の増殖期および分化期においては、200μMの塩化コバルト添加でHif1aターゲット遺伝子の発現が上昇することが明らかとなり、平面培養系と比較して塩化コバルト添加によるHif1aターゲット遺伝子の発現誘導閾値が高くなってことが確認できた。塩化コバルト添加によるHif1aターゲット遺伝子の発現誘導が確認できる条件で、Cck遺伝子の発現を検討したところ、発現誘導が確認できた。また、この発現誘導の変化は平面および三次元化培養で同程度であった。以上の事から、三次元培養筋におけるCck遺伝子の構成的な発現上昇は、低酸素特異的な転写因子である Hif1aを介した制御が行われている可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
筋芽細胞株C2C12細胞におけるCck遺伝子の発現動態を再検証したところ、平面培養系において増殖期から分化期において予期せず、発現上昇が観察された。当初計画では、Hif1a阻害によるCck遺伝子の発現制御を予定していたが、筋分化阻害によるCck発現阻害の影響が強く出る可能性があることから、常酸素下におけるHif1aタンパク質の安定化条件でのCck遺伝子の発現を検討した。その結果、その発現増強が確認できたことから、筋細胞株C2C12に発現するCck遺伝子の発現制御にはHif1a転写因子の関与があることを示唆することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度は、Hif1aタンパク質の安定化薬剤である塩化コバルト添加によるCck遺伝子の発現増強を確認できた。2021年度は、Cckが転写産物のタンパク質として細胞内に発現し、培地にも分泌されているかについて検証を進めていきたい。また、骨格筋においてTrim33がCckの発現を抑制しているという報告(Parks CA et al.2019)もあることから、Trim33発現との関連性についても解析を試みたい。
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Causes of Carryover |
2020年度は、研究分担者が試薬を購入してCckタンパク質発現解析を遂行する予定であったが、コロナ渦中において大学閉鎖、授業混乱等が生じ、予定通りの実験遂行に障害が生じたため。2021年度は、研究分担者がウエスタン解析として関連試薬の購入を計画している。
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Research Products
(5 results)