2023 Fiscal Year Research-status Report
身体運動に伴う主観的末梢感覚抑制に関するメカニズムを探る
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20K11455
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Research Institution | Kibi International University |
Principal Investigator |
高原 皓全 吉備国際大学, 社会科学部, 准教授 (20641327)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山口 英峰 吉備国際大学, 社会科学部, 教授 (30388996)
関 和俊 流通科学大学, 人間社会学部, 教授 (30552210)
小野寺 昇 川崎医療福祉大学, 医療技術学部, 教授 (50160924)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 主観的末梢感覚 / 体性感覚誘発電位 / 誘発筋電図F波 / 男女差 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、随意運動中における主観的末梢感覚変化について、性・年齢の影響および神経生理学的指標との関係について明らかにすることを目的とした。現在は研究課題1・2の一部について明らかにできている。研究課題1の被験者は健康な成人男性8名であった。等尺性最大筋力の30%の目標張力を維持するつまみ動作を行わせ、その際の主観的末梢感覚、誘発筋電図F波、体性感覚誘発電位を測定した。測定条件は、つまみ動作を右手で行う条件(右条件)、左手で行う条件(左条件)、ピンチ動作を行わない条件(対照条件)とした。主観的末梢感覚、誘発筋電図は右手を測定側とし、記録・導出した。体性感覚誘発電位は右手の感覚領域から記録・導出した。若年男性では最大下の力発揮時において、主観的末梢感覚が右条件、左条件ともに対照条件と比較して低下した。誘発筋電図F波は右条件において出現頻度が増加した。体性感覚誘発電位N20成分は全ての条件において変化がみられなかった。P25成分は右条件において有意に低値を示した。若年者では等尺性ピンチ動作時において主観的末梢感覚の鈍化が運動側および非運動側で生じることが明らかになった。また、体性感覚誘発電位P25成分は右条件においてのみ低下することが明らかになった。研究課題2の被験者は、健康な若年成人男女58名(男性:42名、女性:16名)であった。等尺性最大筋力の30%強度の目標張力を維持する掌握動作を行わせ、その際の主観的末梢感覚を測定した。測定条件は研究課題1と同様とした。男性は対照条件と比較して右条件および左条件で有意に低値を示した。女性は対照条件と比較して右条件で有意に低値を示し、左条件においても低値傾向を示した。各条件において男女間で有意差はみられなかった。筋収縮時の主観的末梢感覚の低下は男女ともに観察され、この調節に男女差はみられないことが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
新型コロナウィルス感染症の蔓延防止の観点から実施を見送っていた地域住民を対象とした健康教室の開催が昨年度再開された。しかしながら、健康教室参加者数はコロナ禍前と比べて明らかに少なく、計画したデータ数には遠く及んでいない状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
研究課題1と研究課題2を同時進行で実施することとする。当初予定していた対象者数から減数し、計画した2つの研究課題を完了できるように努める。 研究が大幅に遅れていること、今後の予定については研究分担者と打ち合わせ済みである。得られた研究成果は国内外の学会等で公表し、評価を受ける。また、原著論文として国際雑誌に投稿する。SNSなどの情報ツールを用いて本研究成果の知見を社会に発信するよう努める。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルスの影響の残存による健康教室への参加者数の大幅な減少により、予定していた測定をほとんど実施できなかった。このため、測定被験者への謝金と消耗品費が予定を大幅に下回った。また、参加を予定していた国際学会への参加を見合わせたため、旅費・交通費が予定よりも大幅に下回った。今年度は予定を見直し計画に沿って実験を実施する。これに伴い必要となる出張旅費、消耗品費および被験者謝金として使用する予定である。
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