2020 Fiscal Year Research-status Report
女子高校生・大学生のための子宮頸がん予防教育DVD教材の開発とネットワークの構築
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20K11458
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Research Institution | Shikoku University Junior College |
Principal Investigator |
片山 友子 四国大学短期大学部, その他部局等, 教授 (60648202)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 女子大学生 / 子宮頸がん / 予防教育教材 / POMS / STAI |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、女子大学生を対象に、子宮頸がんに対する予防行動・検診受診行動に繋げるために、疾病や検診に対する不安感を軽減することを考慮した教育教材を開発することである。利益と損益のどちらを強調することが、検診に対する不安を軽減し、有効となるのかを考慮した2種類のモデル教育教材をパワーポイントにより作成した。教育教材Aでは、定期的な検診受診により早期発見された場合、子宮を温存する治療ができることにより妊娠が可能になることを強調した。教育教材Bでは、検診を受診せず、症状が顕われ、進行した状態で発見された場合、治療が難しく妊孕性温存治療が不可能になる場合もあることを強調した。 定期的検診受診による利益を強調した教育教材Aを使用し65名(Ⅰ群とする)、損益を強調した教育教材Bを使用し62名(Ⅱ群とする)の女子大学生を対象に講義を行い、その前後にアンケート調査を行った。その結果、各群の教材視聴前後における検診受診の希望有無について、有意差はなかった。しかし、検診を受診したいと回答した割合が、Ⅰ群では視聴前81%が視聴後90%に、Ⅱ群では87%が95%に増加した。 アンケート調査後、POMSとSTAIの2種類の心理検査を実施し、不安度を測定した。教育教材視聴後のアンケート調査において、Ⅰ群で検診受診を希望する者(A群)、希望しない者(B群)、Ⅱ群で検診受診を希望する者(C群)、希望しない者(D群)に分類し、比較した結果、有意差はなかった。しかし、C群が最もネガティブで、不安度が高いことがわかった。この結果は、損益を強調した教育教材を視聴したC群が、視聴後に不安を感じ、視聴前の調査と比較すると、検診受診を希望する者が増加したのではないかと推測できる。以上の結果と損失回避に働きかけた場合に受診率向上が見られた先行研究があることから、本研究では、損益を強調した教育教材を作成することとした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
不安感の軽減および意識変化を多くの者に与えたモデル教材を教育教材として精査後、パワーポイントにナレーションを入れた予防教育DVD教材を制作会社と打合せの上、作成することを予定していた。しかし、コロナ禍の状況の中、令和2年度前期授業開始時および後期にも遠隔授業が度々実施されたことが影響し、女子大学生を対象とした調査が遅れた。調査は、令和2年12月末から令和3年1月末に実施し、その後、比較分析を行った。現時点では、予防教育DVD教材の作成ができていない状況である。 また、予防教育DVD教材を使用し、女子大学生を対象に、視聴前後の意識変化調査および心理検査を実施することを予定していたが、予防教育DVD教材の作成ができていないため、これらの調査等も実施できていない状況である。 今後も、コロナ禍の影響が継続されることが予想され、遠隔授業等の実施により、女子大学生を対象とした調査は遅れが生じる可能性がある。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画では、令和2年度に予防教育DVD教材を用いて視聴前後の意識変化調査および心理検査(POMS, STAI)を実施し、調査後、令和3年度に検診受診勧奨のためのリーフレットを作成して検診受診行動に至らなかった対象者に配布する予定であった。 しかし、この先も、コロナ禍の影響が継続されることが予想されるため、調査対象者を令和2年に子宮頸がん検診無料クーポン券配布該当者となる大学2年生50名と非該当者50名としていたが、令和3年に大学3年生となった子宮頸がん検診無料クーポン券配布該当者50名と非該当者50名として、調査を継続する予定である。 また、女子大学生を対象とした調査は遅れが生じる可能性があるため、リーフレットの作成を先行し、調査後、速やかに検診受診行動に至らなかった対象者に配布できるよう、準備を進める予定である。
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Causes of Carryover |
予防教育DVD教材の作成が遅れているため、次年度使用額が生じた。また、DVD教材を使用した調査に必要となる心理検査(POMS, STAI)の用紙代を含め、翌年度分として請求した助成金と合わせて使用する予定である。
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