• Search Research Projects
  • Search Researchers
  • How to Use
  1. Back to project page

2020 Fiscal Year Research-status Report

「ウィルダネス」環境下における野外教育プログラムが体験者の自我再構築に及ぼす影響

Research Project

Project/Area Number 20K11459
Research InstitutionUniversity of Tsukuba

Principal Investigator

渡邉 仁  筑波大学, 体育系, 助教 (70375476)

Project Period (FY) 2020-04-01 – 2024-03-31
Keywords野外教育 / 自然体験プログラム / キャンプ / 教育学 / ウィルダネス
Outline of Annual Research Achievements

近年、野外教育プログラムに関する研究は、プログラム効果の検証とともに、プログラムが展開される「場」自体の意味や機能・構造に注目が集まっている。例えば、公園・里山・人工林・ウィルダネス(wilderness:原生自然)等は、一般に「自然のある環境」と認識されるが、それぞれ似て非なる「場」の価値を持っている。そこで本研究は、児童期から青年期を対象にウィルダネス環境下で野外教育プログラムを実践し、特に「ウィルダネス」という場が、体験者(クライエント)の自我にどのように影響を与えているかを検討することであった。
2020年度(令和2年度)は、【研究課題2】ウィルダネス環境下の野外教育として「富士山への集団登山プログラム」を選定し、本プログラムに参加した高校生の「自分という居場所感」への短期的影響を中心に検討を行なった。その結果、プログラム前後で、「精神的安定」「自己肯定感」が有意に向上し、「行動の自由」が有意傾向で向上を示した。特に「精神的安定」は、4ヶ月後まで向上が維持された。富士山への登頂を強く後押しする他者(同行スタッフや仲間)の存在が大きかったように思われる。また、軽度の高山病の症状を呈した参加者がいたが、医療スタッフや仲間に心身ともに「支えられてやり遂げられたという体験」や参加高校生と同行スタッフの全員が登りきった「一体感」などの記述が多数あり、上述の因子への影響を与えたものと考えられる。
また、本プログラムの「ウィルダネス」という場の観点からは、富士山という日本最高峰という「象徴性」、山頂絶景への遭遇という「神秘性」、困難な登山を完遂した「達成感」などが、体験者の自我構築に重要な要因であることが示唆された。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

【研究課題2】ウィルダネス環境下の野外教育プログラムが、クライエントの自我の再構築に与える影響を検討するに関しては、研究者自身がウィルダネス環境下での野外教育プログラムを試み、プログラム前後に自我に関する指標を用いた量的データを収集し分析を行う予定であった。しかし、新型コロナウイルスの蔓延により、プログラム自体が実施することができなかった。
また上述の【研究課題2】のプログラム実施可否の混乱があり、【研究課題1】「ウィルダネス」やその周辺用語に関する概念定義の整理に関しては、文献を計画的に収集することができず、十分な成果を上げることができなかった。

Strategy for Future Research Activity

【研究課題1】「ウィルダネス」やその周辺用語に関する概念定義の整理を行うに関しては、新たに関係構築された研究協力者とともに順次遂行していく予定である。
【研究課題2】野外教育プログラムがクライエントの自我形成(短期/長期)に与える影響を検証するに関しては、例えコロナ禍であっても、参加者規模を縮小して感染症対策を講じることにより、本研究者自身が中心となってプログラムを実施する。そのプログラムを実験場面として、まずは主に短期的な影響について検証を行う予定である。
【研究課題3】自我形成の視点を元に、ウィルダネスとクライエントはどのような関係性(機能や構造等)が生じているか、その効果機序を明らかにするに関しては、当初、修正版グランデッドセオリーアプローチ(M-GTA)を用いて「ウィルダネスにおける自我形成獲得モデル」の構築を計画していた。しかし、まずは、個別の対象者がどのようにウィルダネスを認識しているのかを「現象学」の立場から捉えることとした。その上で、その効果機序に関して、モデル構築することが現実的かつ有意義であると判断した。

Causes of Carryover

(理由)コロナ禍の影響のため、研究者自身が中心となって実施する野外教育プログラムが実施できず、それに関わる旅費・調査人件費・必要物品等の消耗品費を執行することができなかった。また、関連学会で研究協力者等と情報交換をする予定であったが、大会自体がオンライン開催となり旅費を執行することができなかった。
(使用計画)コロナ禍が継続していたとしても、野外教育プログラムは参加者規模の縮小や感染症対策を十分に講じて実施し、それに関わる旅費・調査人件費・必要物品等の消耗品費を執行する予定である。

  • Research Products

    (1 results)

All 2020

All Presentation (1 results)

  • [Presentation] 富士登山プログラムが高校生の「自分という居場所感」に及ぼす影響2020

    • Author(s)
      渡邉仁
    • Organizer
      日本野外教育学会第23回大会

URL: 

Published: 2021-12-27  

Information User Guide FAQ News Terms of Use Attribution of KAKENHI

Powered by NII kakenhi