2021 Fiscal Year Research-status Report
Development of new learning support in physical education classes for awkward or unskillful children based on DCD and motor skill underachievers research
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20K11460
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
古田 久 埼玉大学, 教育学部, 准教授 (80432699)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石川 泰成 埼玉大学, 教育学部, 准教授 (00620197)
細川 江利子 埼玉大学, 教育学部, 教授 (60238748)
松本 真 埼玉大学, 教育学部, 准教授 (70334141)
有川 秀之 埼玉大学, 教育学部, 教授 (80232057)
黒坂 志穂 広島大学, 人間社会科学研究科(教), 准教授 (80580901)
菊原 伸郎 埼玉大学, 教育学部, 准教授 (90319591)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 運動不振 / 運動が苦手な児童 / 課題分析 / つまずき |
Outline of Annual Research Achievements |
令和3年度の研究実績について研究代表者と分担者に分けて報告する。 研究代表者は,小学校学習指導要領解説(平成29年告示)体育編の「運動(遊び)が苦手な児童への配慮の例」の分析を心理学的観点から行った。配慮の例は,主に課題の簡易化やルールの改変,場の設定の工夫など,練習環境や練習課題のデザインに着目する傾向が認められた。これはアフォーダンス等の生態学的心理学の考え方と結びつきが強いと考えられた。他方,視覚探索並びに予測技能等の認知的技能や教師からのフィードバックに代表される情報処理的アプローチに基づく配慮は比較的少ない傾向にあった。以上のことから,情報処理的アプローチからの研究知見を導入することに加え,生態学的心理学及びダイナミカルシステムアプローチから配慮の例を精緻化することが,「運動(遊び)が苦手な児童への配慮の例」を拡張するために有効であると考えた。 本研究課題の分担者は6名であり,各分担者が小学校学習指導要領(体育)の運動領域のそれぞれにおいて基本的な運動の課題分析と「つまずき」の明確化を試みた。紙幅の関係上,ここでは器械運動担当の石川泰成の成果の概要を以下に示す。 学習指導要領解説、例示の記述にもとづき、台上前転の基本的な運動課題の階層的分析により,技術構造や児童のつまずきを整理・体系化した。台上前転ができない小学校第3学年の抽出児童5名を対象に、助走~踏み切り、踏み切りから台上での前転、前転からの着地の局面でのつまずきの明確化と言語化を試みた。その結果、5名とも予備踏み切り-踏み切り-着手までの一部、あるいは複数の動きにつまずきが確認できた。このことから、踏み切り位置よりも「高いところに着手した前転」を可能とする、腰を引き上げる力強い踏み切り、体を支え後頭部を台上に接地する着手、に重点を置いた感覚つくりの運動や段階的な練習方法の導入の重要性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究は3つのステップから構成される。ステップ1で学習指導要領解説(平成29年告示)体育編に記載されている「運動(遊び)が苦手な児童への配慮の例」と「運動(遊び)に意欲的ではない児童への配慮の例」が基礎とする指導観・指導方略を明らかにし,不十分な点がないか検討する。ステップ2で,学習指導要領の運動6領域における基本的な運動の課題分析と児童の「つまずき」の明確化を行う。そしてステップ3で拡張版の「運動(遊び)が苦手な児童への配慮の例」を提案し,本学の附属小学校で実践し,その有効性を検討する。 令和3年度は,前年度に不十分だったステップ1の検討をさらに進め,同時にステップ2の学習指導要領の運動6領域における基本的な運動の課題分析と児童の「つまずき」の明確化を分担して進めた。しかし,運動領域によって検討の進捗状況は様々であるので,最終年度である令和4年度は,これまで以上に連携を強化して研究の完了を目指す。
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Strategy for Future Research Activity |
令和4年度は,引き続き小学校学習指導要領の体育における体つくり運動系,器械運動系,陸上運動系,水泳運動系,ボール運動系,表現運動系の運動6領域における基本的運動の課題分析と児童の「つまずき」の明確化を行う。これによって「つまずき」への対処法や指導的配慮を考案するための手がかりを得る。 そして,令和2年度と3年度の成果を統合する。具体的には,学習指導要領解説体育編における運動が苦手な児童への配慮が基礎とする指導観・指導方略と運動課題の分析並びに児童の「つまずき」の明確化の検討結果をもとに,研究代表者と分担者で協力して運動領域ごとに拡張版の「運動(遊び)が苦手な児童への配慮の例」を提案する。そして,その中の幾つかを取りあげて本学附属小学校の体育授業で実際に実施し,それらの有効性を検討する。
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Causes of Carryover |
国際学会及び国内学会に出席するための旅費を計上していたが,新型コロナウイルスの感染状況が改善しなかったために,学会が中止・延期やオンライン開催となってしまった。そのため,執行できずに次年度使用額が発生した。 次年度繰越金は,学会出席のための旅費や研究遂行のために必要な消耗品などの物品の購入費用として使用する。
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