2020 Fiscal Year Research-status Report
運動遊びと動きに対する保育者および小学校教諭の認識に違いはあるのか
Project/Area Number |
20K11461
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Research Institution | Tokyo Gakugei University |
Principal Investigator |
吉田 伊津美 東京学芸大学, 教育学研究科, 教授 (30335955)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 運動遊び / 多様な動き / 保幼小接続 / 養成課程 / 体育 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和2(2020)年度は、保育者の多様な動き、遊びに対する認識(目的1-a)を明らかにするために質問紙調査を実施した。具体的には、幼児期の運動発達の特徴および幼児期運動指針の理解、遊びの理解と実際の運動遊び指導などを尋ねる質問紙を作成、保育所保育士を対象に郵送により調査を実施し、公私立保育園84園684名より回答を得た。質問項目のうち実際の運動指導に関する項目について経験年数により比較した。 実際の運動遊び指導について尋ねた51項目に対し探索的因子分析を行ったところ、「幼児主体」「保育士主導」の2因子で構成されていた。経験年数を1~6年(以下A群)、7~15年、16~25年、26~43年の4群に分け各因子得点を比較したところ、「幼児主体」はA群が最も低く経験年数が高くなるほど有意に高くなり、「保育士主導」はA群が他3群よりも有意に高かった。このことから経験年数の浅い若手の保育士は保育士主導型の運動指導を行っており、経験年数が高くなるほど幼児の主体的な活動を尊重する遊びとしての運動指導をしていた。一方、同じ項目に対し理想とする運動指導について回答を求め同様の比較をしたところ、「幼児主体」「保育士主導」のいずれもA群が他3群よりも有意に高く、より幼児主体、より保育士主導の指導を行いたいと考えていた。さらに実際の指導と理想の指導との得点差はA群がもっとも大きく経験年数が高くなるにつれて小さくなっていた。このことから経験年数の浅い若手の保育士は遊び要素の低い保育士主導型の運動指導を行う傾向にあるものの、遊びの重要性を認識しており、その指導に葛藤や課題を抱えている可能性が示唆された。 なお、本研究は保育者として幼稚園、保育園、こども園を対象としているが、今年度は保育園のみの実施であった。幼稚園を対象とした調査は次年度4~5月の実施を予定しており、今後は幼稚園の結果を合わせて再検討を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度の対象は幼稚園、保育園、こども園の保育者であるが、保育園のみの実施であったため。 調査の実施を郵送または研修会等で配布を計画していたが、COVID-19感染防止のため研修会等での配布ができず郵送のみの実施となった。そのため実施に遅滞が生じ保育園のみの実施となった。しかし、計画では対象を200名予定していたが、保育園のみで684名から回答を得ることができ、次年度(4~5月)実施予定の幼稚園もほぼ同数の実施を見込んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度未実施であった幼稚園は依頼済みであり、質問紙を回収次第、保育者の分析を行う。 令和3(2021)年度に実施予定の小学校教諭の基本的な動き、遊びの理解に関する調査(目的1-b)は、すでに質問紙の作成に着手しており、計画通り秋期には実施の予定である。
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Causes of Carryover |
質問紙の実施が遅滞しデータ入力時期が次年度にずれ込み、データ入力に係る使用がなかったため。データ入力は次年度4月早々に依頼予定であり、次年度のデータ入力に要する経費として計上する。 またCOVID-19感染防止のため参加予定の学会等がオンライン開催となり、旅費の使用が制限された。次年度の旅費として計上する。
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