2023 Fiscal Year Annual Research Report
性別と階級を考慮した柔道選手に求められる身体能力の探索的研究
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20K11465
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
出口 達也 広島大学, 人間社会科学研究科(教), 教授 (60227543)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柳岡 拓磨 広島大学, 人間社会科学研究科(教), 准教授 (20846951)
黒坂 志穂 広島大学, 人間社会科学研究科(教), 准教授 (80580901)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 柔道 / 下肢筋力 / 瞬発力 / 身体特性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、柔道選手の投技の得意技別における下肢筋力と瞬発力の特性を明らかにすることを目的とした。近年の柔道における試合分析から、階級や性別によって試合の様相が大きく異なることが明らかになっており、性別や階級によって柔道選手に求められる身体能力が異なる可能性が示唆されている。しかしながら、これまでの研究では、階級や性別を考慮した柔道選手の身体能力に関する検討は十分になされていない。そこで本研究では、大学の柔道選手を対象に、得意技別の下肢筋力と瞬発力を他競技の選手と比較することで、その特性を探索的に分析した。 大学の柔道選手と他競技の選手を対象に、脚筋力測定器で膝伸展筋力を、OputoJumpNextでリバウンドジャンプのRJ indexを測定し比較した。その結果、柔道選手は他競技選手と比べ、男女ともに膝伸展筋力は高い傾向にあったが、瞬発力を示すRJ indexは低い傾向が見られた。特に男子では、硬式野球、バレーボール、サッカー選手との間にRJ indexの有意差が認められた。また、柔道選手の得意技別に見ると、膝伸展筋力とRJ indexはともに手技群が最も高く、次いで足技群、腰技群の順であった。 これらの結果から、柔道選手は他競技と比べて下肢の筋力に優れる一方で瞬発力は劣る傾向にあり、また柔道選手の中でも得意とする投技の種類によって必要とされる下肢の筋力や瞬発力が異なることが示唆された。本研究の知見は、柔道選手の競技力向上のために、それぞれの得意技に適したトレーニング処方を行う上で有用な情報になると考えられる。一方、本研究の限界として、対象者が大学生の柔道選手に限定されていた点が挙げられる。今後は、性別や階級、競技レベルも考慮しながら、柔道選手に求められる体力要素をさらに具体化していくことが望まれる。
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