2021 Fiscal Year Research-status Report
登山者自身の手で安全な登山を実行できるアクティブラーニングシステムの構築
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20K11492
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Research Institution | National Institute of Fitness and Sports in Kanoya |
Principal Investigator |
山本 正嘉 鹿屋体育大学, スポーツ生命科学系, 教授 (60175669)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 登山 / 安全教育 / アクティブラーニング / 体力 / 行動適応 |
Outline of Annual Research Achievements |
登山はわが国で、年齢や性別を問わず愛好者の多い生涯スポーツの一つである。しかし事故も多く、毎年の事故者数は2000人を超えている。その主要因として、体力に不相応なコースに出かけ、無理な速さで歩くことが指摘されている。またこの数年の傾向としては、新型コロナウイルスの影響から、登山の素人が気晴らしのために近郊の低山に出かけて、事故を起こすケースも目立っている。 本研究では、登山の初心者を対象として、自分の体力を自身で評価し、それに適合した登山コースを自らの手で選択できるようなアクティブラーニング型の方法論を開発・提案し、安全登山に寄与しようとするものである。すなわち、ウォーキング・ジョギング・水中運動などでは確立されている運動処方の登山版(登山処方)を作ることを目的としている。そしてこのような登山処方を、各人の手で安全かつ健康増進にもつながるように実行していけるアクティブラーニングの方法論を構築するものである。 この目的のために3つの研究を行っている。1)登山者自身で実行できる体力チェック法の提案、2)登山の特異性を考慮したトレーニング法の提案、3)体力相応の登山コースを選択するためのアクティブラーニングの提案。1)2)3)とも、令和2年度までに一定の成果を得て、論文としても公表した。 令和3年度はこれらの成果を基に、全国の登山コースに設定されているコースタイムについて、運動生理学的に見て初心者・低体力者・高齢者などにも無理のない、標準的な値にするための考え方と具体的な方法をまとめた。これにより上記の1)2)3)の実行が容易になる。またこの知見を、国立登山研修所が刊行している年報に掲載したり、同研修所が30年ぶりに改訂した指導者用のテキストにも記述することができ、社会への公表も進んだ。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究課題の1)2)3)のいずれについても予想どおりの進捗を示しており、日本の登山指導の拠点である国立登山研修所においても、基礎知見として採用されたため。また新型コロナウイルスによる研究遂行への影響についても、最小限にとどめられる対策もできているため。
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Strategy for Future Research Activity |
研究課題の1)2)3)のいずれについても、今年度までに成果がほぼまとまり、エビデンスとして社会に公表・認知できているので、今後は本研究の知見を社会に実用的な形で普及させることに重点を置く。特に、多くの登山者が使用している登山者用のアプリケーションソフトに本研究の成果を実装して普及を促進していく予定である。 また、申請者が行っている研究は登山界全体からも大きな期待を寄せられており、国立登山研修所、日本山岳・スポーツクライミング協会、日本山岳ガイド協会などからの協力体制も充実していることから、この環境を十分に活用して研究を遂行していく。
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Causes of Carryover |
少額につき使用用途がなかったため次年度使用額が生じた。次年度使用額は令和4年度助成金と合算して「その他」費として使用予定である。
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