2022 Fiscal Year Annual Research Report
自閉症スペクトラム障害と臍帯血中ω3系脂肪酸に関するコホート内症例対照研究
Project/Area Number |
20K11507
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
濱崎 景 群馬大学, 大学院医学系研究科, 教授 (50533494)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
守口 徹 麻布大学, 生命・環境科学部, 教授 (10512006)
稲寺 秀邦 富山大学, 学術研究部医学系, 教授 (10301144)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ω3系多価不飽和脂肪酸 / 自閉症スペクトラム障害 / コホート内症例対照研究 / 臍帯血 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、臍帯血のω3系多価不飽和脂肪酸の低下が5歳時点での自閉症スペクトラム障害の危険因子になっているかどうかを検証するコホート内症例対照研究である。令和4年度の研究実績としては、得られた臍帯血血清脂肪酸結果から、より具体的な分析を行った。症例75名と対照150名の比較を行ったところ、ω3系多価不飽和脂肪酸(単位は全脂肪酸中の割合(%))では、特に両群間で有意差は認められなかった。また、主なω6系多価不飽和脂肪酸でも特に両群間で有意差は認められなかった。なお、唯一有意差があったのは、ネルボン酸と呼ばれる一価不飽和脂肪酸で(1.7±0.3 vs 1.6±0.3, p=0.03)、その差はわずかであった。以前行ったω3系多価不飽和脂肪酸のロジスティック回帰分析(三分位)では、特に関連は認められなかったが、今回はω6系多価不飽和脂肪酸であるアラキドン酸(プロスタグランジン、ロイコトリエン、トロンボキサンなどの基質)について解析を行った。最低三分位と比し、第2, 第3三分位のオッズ比(95%信頼区間)は、1.91(0.90-4.00), 0.86(0.38-1.93), トレンド検定p=0.72と特に関連は認められなかった。また、総ω6系多価不飽和脂肪酸でも、1.15(0.56-2.39), 0.62(0.28-1.38), トレンド検定p=0.26と関連は認められなかった。さらに、ω6/ω3比でも、0.64(0.29-1.40), 0.63(0.29-1.37) , トレンド検定p=0.25と関連は認められなかった。また、補正に使用した交絡因子(出産年齢/運動強度/臍帯血中水銀濃度/妊娠中の就業有無/出産回数/世帯収入/教育歴/喫煙状況/飲酒状況/妊娠前BMI)のいくつかで層化解析を行ったが、脂肪酸と自閉症スペクトラム障害のオッズ比で関連が認められることはなかった。
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