2022 Fiscal Year Research-status Report
血小板型12-リポキシゲナーゼはNASH進展における肝線維化に関与するか
Project/Area Number |
20K11515
|
Research Institution | Okayama Prefectural University |
Principal Investigator |
高橋 吉孝 岡山県立大学, 保健福祉学部, 教授 (10236333)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川上 祐生 岡山県立大学, 保健福祉学部, 准教授 (30453202)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 血小板型12-リポキシゲナーゼ / 肝星細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度までの研究において、樹立したヒト血小板型12S-リポキシゲナーゼを安定形質発現するヒト肝星細胞株において、コントロールのMock細胞と比較して、コラーゲンをコードするCOL1A1とCOL1A2の発現レベルが低下していること、血小板型12S-リポキシゲナーゼノックアウトマウスにメチオニン・コリン欠損食を8週間給餌することにより作成したNASHモデルマウス(MCDマウス)においては、野生型マウスと比較して線維化がより進行することが示された。すなわち、血小板型12S-リポキシゲナーゼの肝星細胞における発現は、肝線維化を抑制する方向に働くことがin vivoと in vitroの両方で示された。 そこで本年度は、ヒト血小板型12S-リポキシゲナーゼを安定形質発現するヒト肝星細胞株とMock細胞の遺伝子発現プロファイルをDNAマイクロアレイを用いて比較し、16倍以上の変化があったものについて、野生型ヒト肝星細胞株とヒト血小板型12S-リポキシゲナーゼの発現レベルの異なる複数のヒト肝星細胞株での発現レベルを検討した。発現レベルが血小板型12S-リポキシゲナーゼ発現レベルと相関した遺伝子について、血小板型12S-リポキシゲナーゼノックアウトマウスと野生型マウスのそれぞれから作成したMCDマウス肝における発現レベルを比較し、肝線維化のレベルに応じて発現レベルが変化し、ノックアウトマウスにおいて野生型マウスでの変化よりも大きいものを拾い上げたところ、複数の遺伝子が特定された。すなわち、これらの遺伝子の発現レベルは線維化のレベルに応じて変化し、血小板型12S-リポキシゲナーゼの発現上昇に伴って発現レベルが変化することが、in vivoと in vitroの両方で示された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
肝星細胞の血小板型12S-リポキシゲナーゼが、NASHにおける肝線維化の進行に抑制的に関わることが解明され、そのメカニズムの一つとして、肝線維化に関わる複数の遺伝子の発現調節を介することが、過剰発現細胞とノックアウトマウスを活用することにより示されたため。
|
Strategy for Future Research Activity |
今回の研究で見つかった肝線維化に関わる遺伝子が、実際にコラーゲン遺伝子の発現に影響するかどうか明らかにするとともに、これらの遺伝子の発現調節に関わる血小板型12S-リポキシゲナーゼ生成物の同定を進めて行く必要がある。
|
Causes of Carryover |
論文化するためには、いくつかの実験の再現性を確認し、さらにそれを裏付ける追加データを取るなど、研究をより精緻なものとする必要があるため。
|