2021 Fiscal Year Research-status Report
The variation of one carbon metabolism by folic acid supplementation for child bearing women
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20K11516
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Research Institution | Kagawa Nutrition University |
Principal Investigator |
庄司 久美子 (加藤久美子) 女子栄養大学, 栄養学部, 助教 (50721825)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福岡 秀興 福島県立医科大学, 医学部, 特別研究員 (80111540)
川端 輝江 女子栄養大学, 栄養学部, 教授 (80190932)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 葉酸 / ワンカーボン代謝 / サプリメント / 介入 / 妊娠可能年齢女性 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、望ましくない母体環境で育ち、出生した子どもは、成人期に生活習慣病のリスクが高まる可能性が明らかになりつつある。それは、DNAの塩基配列変異 を伴わないエピジェネティック修飾という、遺伝子の働きに関わる変化に起因すると想定されている。また、ビタミンの1種である葉酸の代謝経路を含むワン カーボン代謝は、エピジェネティック修飾に極めて重要な働きをすると考えられている。そこで、妊娠可能な年齢の女性が葉酸サプリメントを継続摂取した際、 ワンカーボン代謝がどのように変化するのか、遺伝的背景も考慮した上で、評価していく研究である。 現在、妊娠可能女性に対して妊娠前、妊娠中を通じた400μgの葉酸サプリメント摂取が推奨されているが、個人差を含めてこの摂取量が最適であるかの明確な結論は得られていない。また、最近では妊婦の葉酸サプリメント摂取による児の健康問題も報告されつつある。本研究は、胎生期のエピジェネティック修飾や酵素遺伝子多型を視野においた、妊娠可能年齢女性への最適な葉酸摂取量の提言基盤となる研究を目的とするものである。 2021年度は、申請者の所属する大学の学生(18-25歳)を対象とし、「プラセボ群」、「F400群(400mcg 葉酸摂取)」、「F800群(800mcg 葉酸摂取)」の3群に分け、二重盲検化ランダム割り付け介入試験を実施した。研究開始時は359名の対象者で開始し、最終的に16週間の介入期間を完了した対象者は340名であった。プラセボ、F400、F800の3群間でベースラインの身体計測値、血液検査データ(血算、血中脂質、ビタミンB12、CRP)に有意な差は見られなかった。また、介入前後の比較においても、有意な差は見られなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
COVID-19の蔓延により、介入試験の実施が2年目にずれ込んだ。当初の計画では、1年目終了時点で介入試験を開始しており、2年目に血液中のワンカーボン代謝物質の測定、遺伝子多型の解析を行う予定であった。しかし、2021年度末に介入試験が終了したため、やや遅れている、という評価になる。しかし、介入試験の実施と並行して、血液サンプルからのDNA抽出を進めた。ワンカーボン代謝に関連する酵素遺伝子多型の解析は現在進行中であり、順調に進んでいる。2022年度は、LC-MS/MSにより、ワンカーボン代謝物質の測定を実施予定で、6月には開始できるよう、準備は順調に進んでいる。また同時に、すでに収集できたデータ(身体計測、血液検査、食事、ライフスタイルデータ)の解析、データ整理なども進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度は、ワンカーボン代謝物質の測定を進める。また、当初の計画に追加して、ワンカーボン代謝物質の測定の際、葉酸の分子種である5-フォルミルテトラヒドロ葉酸(5-FolTHF)を測定できるよう、準備を進めている。これは、ワンカーボン代謝に影響を与えることが明らかとなっている一塩基多型(SNP)のうち、メチレンテトラヒドロ葉酸還元酵素(MTHFR C677T)のマイナーアレルホモ型は、葉酸分子種の分布が変化する可能性が示唆されている。そこで、現在の測定系に追加が可能と考えられる5-FolTHFを追加測定し、葉酸サプリメント摂取とSNPの影響を検討する予定である。 2022年度後半には分析データが出そろい、統計解析に移ることが可能となるため、2022年度後半、または2023年度初頭には学会発表を行い、論文執筆に進みたいと考えている。
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Causes of Carryover |
介入試験の対象人数のうち、脱落者などにより、介入試験を終了した人数に誤差が出たこと、また多くの学会などがオンラインで実施されたことによる旅費の支出がなかったことにより、未使用額が生じた。また、2022年度にワンカーボン代謝物質を測定するに当たり、今年度より試薬購入など準備を始めたため、2021年度終了時点でまだ購入が済んでいないものもあるため、残額が生じている。2022年度は分析を進める為、全額使用予定である。
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