2020 Fiscal Year Research-status Report
ストレスセンシング機構を標的としたフラボノイドの細胞保護作用発動機構の解明
Project/Area Number |
20K11529
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
松島 充代子 名古屋大学, 医学系研究科(保健), 講師 (10509665)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川部 勤 名古屋大学, 医学系研究科(保健), 教授 (20378219)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | フラボノイド / ストレスセンシング / Nrf2 / HO-1 / オートファジー |
Outline of Annual Research Achievements |
生体にはさまざまな防御機構があり、外的因子に対して適切な生体応答を誘導し、生体の恒常性を維持している。Nrf2 (nuclear factor erythroid 2-related factor 2)システムやオートファジーはストレスに対して働く完成度の高い生体防御機構で、ほとんどすべての細胞に備わっている。多彩な細胞保護作用を示すフラボノイドは本来ストレスのもとで誘導されるNrf2システムやオートファジーを効果的に発動させることを見出した。本研究ではフラボノイドは実際のストレスを与えずに細胞に防備態勢を誘導することが多彩な細胞保護効果発揮の出発点であると考え、作用点と考える細胞膜で誘導されるストレスセンシング機構を探索・同定することを目的とする。2020年度はフラボノイドのストレスセンシング機構の探索を行うための細胞腫の選別を中心に行った。具体的にはすでに知見のある細胞株に加えて、上皮細胞やマクロファージなどのストレスの影響を受けやすい細胞を用いてフラボノイドの反応性についてNrf2システム、オートファジーの誘導の有無で評価した。これまでの解析結果からマクロファージが良好にNrf2の活性化やオートファジーを誘導できることを確認した。また、フラボノイドの作用機序を考えるうえで鍵となるheme oxygenase (HO)-1をノックアウトしたマクロファージ細胞株を作製した。今後はこれらの細胞を用いて、フラボノイドによって誘導されるストレス応答関連分子の同定や共通あるいは異なる分子機構を探索・同定する分子レベルでの解析を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2020年度は新型コロナ感染症の影響により研究の進行が大幅に遅れ、想定していた実験を年度内にこなすことができなかった。当初の予定では反応性の異なる複数のフラボノイドを用いてRNAseqやマイクロアレイを用いて発現が変化する転写物の解析を行う予定だったが、フラボノイドを集めるのみで終わってしまった。代わりに最も効率よくフラボノイドによるストレス応答機構を誘導できる細胞株の探索を行った。すでに知見のある細胞に加え、マクロファージや上皮細胞も解析に加え検討を行った。また、マクロファージについてはHO-1のノックアウト細胞株を作製するところまでは進めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度の作成したHO-1のノックアウトマクロファージ細胞株を用いて、フラボノイドによるストレスセンシング機構について分子レベルでの解析を行う。加えて、反応性の異なるさまざまなフラボノイドを用いてRNAseqあるいはマイクロアレイを行い、発現が変化する転写物を経時的に解析し、得られた発現データからストレス応答に関連するパスウェイを中心に抽出し、Nrf2の応答様式によって修飾される共通の分子あるいは差が出る分子の探索・同定を試みたい。
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