2021 Fiscal Year Research-status Report
ストレスセンシング機構を標的としたフラボノイドの細胞保護作用発動機構の解明
Project/Area Number |
20K11529
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
松島 充代子 名古屋大学, 医学系研究科(保健), 講師 (10509665)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川部 勤 名古屋大学, 医学系研究科(保健), 教授 (20378219)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | フラボノイド / Nrf2 / heme oxygenase-1 |
Outline of Annual Research Achievements |
フラボノイドは天然の植物に含まれる有機化合物である。ケルセチンは果物や野菜に多く含まれるフラボノイドの一種である。我々はケルセチンが肥満細胞、上皮細胞、マクロファージ、線維芽細胞においてnuclear factor E3-related factor 2 (Nrf2)-heme oxygenase (HO)-1経路を介して細胞保護効果を示すことを報告した。本研究では細胞がフラボノイドを感知するストレスセンシング機構を探索・同定し、フラボノイドの多彩な細胞保護効果の発揮の出発点となる分子機構を解明することを目的とする。2021年度は樹立したHO-1ノックアウトマクロファージ細胞株を用いて、フラボノイドの誘導するオートファジーとHO-1との関係について検討した。まだ解析途中ではあるが、HO-1の欠損がフラボノイドによって誘導されるp62の発現を制御する可能性を示唆する結果が得られている。また、これまでフラボノイドの細胞膜への作用について検討を進め、フラボノイドのひとつであるケルセチンが細胞膜のコレステロール量を減少させ、その結果、細胞膜に局在するcaveolin-1とNrf2の複合体を細胞質、核へと移行させることでNrf2-HO-1を活性化、誘導することを明らかにした。今後はHO-1ノックアウト細胞株を用いてこれまで検討してきたフラボノイドの細胞膜への作用への関与について検討していくとともに、フラボノイドが誘導する細胞保護作用の責任遺伝子について検討を進め、フラボノイドの細胞保護作用を包括する分子機構の解明を最終目標とし、ストレスに対して誘導される生体防御機構に主眼をおき細胞保護作用の機序を解明する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2021年度は前年度に樹立したHO-1ノックアウト細胞株を用いて、フラボノイドのオートファジーへの影響およびNrf2-HO-1への関与について検討した。フラボノイドにはケルセチンを用いて検討を進めた。結果のバラつきが多く、いまだ解析途中ではあるが、HO-1が選択的オートファジーに関与するp62の発現を制御する可能性を示唆する結果が得られている。また、これまで検討してきたケルセチンの細胞膜への作用およびHO-1誘導機構についてまとめあげ、論文投稿した。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度は現在解析途中であるフラボノイドのオートファジーへの影響およびNrf2-HO-1への関与について検討を進めるとともに、ケルセチンによる細胞保護作用の責任遺伝子についてRNAseqを用いて網羅的に解析し、抽出された遺伝子群のなかでKeap1-Nrf2系ならびにオートファジーに関与する遺伝子群、双方の系に関与しない遺伝子群とに分け、新たな機序を含めたケルセチンの細胞保護機構を探索する予定である。
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Research Products
(9 results)