2020 Fiscal Year Research-status Report
Clinical study of early zinc supplementation for preterm infants
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20K11537
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
宮沢 篤生 昭和大学, 医学部, 講師 (50465134)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 亜鉛 / 早産児 / 低出生体重児 / 母乳 / 栄養 |
Outline of Annual Research Achievements |
胎児の亜鉛蓄積は妊娠後期に行われるため、早産児は十分な亜鉛の備蓄がない状態で出生する。母乳は新生児にとって最も理想的な栄養方法であるが、母乳中の亜鉛濃度は初乳から生乳になると低下するため、母乳単独では亜鉛欠乏に陥る可能性がある。 早産児の亜鉛欠乏は出生後の急激な体重増加と関連することが報告されており、近年普及しつつある出生当日からの静脈輸液を主体とした積極的栄養管理(Early Aggressive Nutrition)は亜鉛欠乏のリスクを増大させる可能性がある。また安定期の栄養管理として、母乳のみでは早産児の適切な発育に不足する栄養素を補充するために、母乳強化剤が母親の母乳に添加されるが、わが国で使用可能な母乳強化剤には亜鉛が添加されていない。 本研究では研究初年度に早産児の対する栄養投与量、発育を示すパラメータと血中亜鉛濃度の関連性を評価し、早産児における亜鉛欠乏のリスク因子を明らかにするとともに、母親の母乳中亜鉛濃度を経時的に測定することで、亜鉛摂取量と血中亜鉛濃度との関係についても評価を行う。さらに2年目以降は早産児に対する亜鉛の早期補充が亜鉛欠乏の予防やアウトカム向上に及ぼす影響を評価することを目的とした無作為比較試験を予定している。 2020年度は研究計画をもとに当院の倫理委員会への申請、説明文書の作成、母乳中亜鉛濃度測定を委託する外部検査機関との調整を行ったのち、2020年11月より研究対象のリクルートを開始した。2021年3月末までに12例の早産・低出生体重児が登録され、母乳47検体について亜鉛濃度の測定を行った。12例中、NICU入院中の発育評価および関連する周産期因子のデータ収集まで終了しているものは7例であり、新規対象症例の登録を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
院内における倫理委員会の承認に時間を要したこと、外部機関での母乳中亜鉛濃度測定のための手順等の調整に時間を要したため、リクルート開始が予定よりも遅れてしまった。また、新型コロナウイルス感染拡大に伴う分娩数およびNICU入院症例の減少により、11月・12月にかけて対象となる早産児の入院症例が少なく、リクルートが困難な状況であった。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年1月以降、早産児の入院件数は増加傾向にあり、リクルート期間を2021年9月末まで延長することで、当初目標としていた30症例のリクルートは可能と考えている。 2021年度に開始を予定していた無作為比較試験は2021年10月以降開始できるように準備を進めていく。
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Causes of Carryover |
対象症例のリクルート開始が遅れたため、母乳中亜鉛濃度測定の検体数が予定よりも少なかった。また新型コロナ感染症の拡大により、出席を予定していた関連学会が延期もしくは中止となったため旅費として計上していた予算を使用しなかった。 亜鉛測定は2021年9月まで延期するため、引き続き使用を予定している。
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