2021 Fiscal Year Research-status Report
Elucidation of mechanisms of molecular recognition and sorting for normal from damaged albumin molecules in renal proximal tubules.
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20K11540
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
大寺 恵子 東邦大学, 薬学部, 助教 (70453850)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 老化 / 食事制限 / 腎臓 / タンパク尿 |
Outline of Annual Research Achievements |
本申請では、高齢ラットにおけるタンパク(アルブミン)尿症の発症および食餌制限による改善における腎臓の異常アルブミン蓄積の関与を調べるとともに異常アルブミンが腎近位尿細管再吸収後にどのような運命をたどるのかを検証する。本年度は食餌制限によるラットにおけるアルブミン分解の亢進について尿排泄アルブミンの解析を行った。アルブミンは、近位尿細管でmegalin、cubilinを介したエンドサイトーシスにより取り込まれ、リソソームのタンパク質分解酵素によって分解され、アミノ酸となり再利用されると考えられている。ところが、ヒトやラットの尿のゲルろ過やラット摘出腎臓を用いたアルブミン灌流実験からアルブミン分解産物が尿へと排泄されることが示されている。このことは、腎臓で分解されたアルブミンの一部は尿へと排泄されていることを示している。そこで、老齢ラットおよび食餌制限老齢ラットの尿を用いて尿タンパク質の分子種について調べた。老齢ラットを食餌制限することにより尿へのアルブミン排泄のみならず、100-200 kDaの高分子量タンパク質および低分子量タンパク質(数100 Da-約10 kDa)の排泄量が低下することがわかった。食餌制限によりアルブミン分解が亢進し、その分解産物の尿へ排泄される量が増加すると考えられたが、実際には食餌制限により低分子量タンパク質の排泄量は減少していた。次に腎ホモジネートのFITC-アルブミンアルブミン分解活性についても調べたが、食餌制限による影響は認められなかった。このように食餌制限によるアルブミン分解亢進を示す結果はこれまでに得られていない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2020(令和2)年度の新型コロナウイルス感染症感染拡大防止のための緊急事態宣言の発令に伴う在宅勤務等による研究の遅れをまだ完全には取り戻せていない。
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Strategy for Future Research Activity |
本申請では、高齢ラットにおけるタンパク(アルブミン)尿症の発症および食餌制限による改善における腎臓の異常アルブミン蓄積の関与を調べるとともに異常アルブミンが近位尿細管再吸収後にリソソーム分解系かそれともトランスサイトーシス再利用系どちらの経路へと進むのかを検証する。さらに、食餌制限によるアルブミントランスサイトーシス活性化因子を同定する。そのために、以下の4つのアプローチをとる計画を立てた。(研究1) 加齢に伴う腎臓の異常アルブミン蓄積に対する食餌制限の影響、(研究2) 異常アルブミンの近位尿細管再吸収後の経路の探索、(研究3) アルブミントランスサイトーシスの活性化に関わる分子の探索と同定、(研究4) アルブミントランスサイトーシスに関わるタンパクの精製と同定である。(研究1)では、老齢ラットおよび食餌制限老齢ラットの異常タンパク質蓄積についてカルボニル化、AGE化、CML化を指標にWestern Blot(WB)解析および免疫染色により調べた。老齢ラット腎臓でカルボニル化、AGE化、CML化アルブミンが蓄積していたが、食餌制限は、AGE化、CML化タンパク質の蓄積量に対しては影響を与えなかった。また、老齢ラットおよび食餌制限老齢ラットの尿を用いて尿タンパク質の分子種について調べた。今後は、腎臓中のアルブミンの他の翻訳後修飾や尿中アルブミン修飾についても同様な実験を行う予定である。(研究2)および(研究3)では、実験に使用する単層培養ラット腎臓由来不死化細胞を用いたトランスウエル移行アッセイのための条件検討を行い、実験を進めている。今後、(研究1)から(研究4)について、引き続き、当初立てた計画に従って進めていく。
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Causes of Carryover |
次年度使用が生じた理由は、2020(令和2)年度の新型コロナウイルス感染症感染拡大防止のための緊急事態宣言の発令に伴い、在宅勤務期間があったり、コロナ対策等に時間を割かれたりしたために生じた遅れをまだ完全に取り戻せていないためである。以上の理由により、研究の進度に遅れが生じ、それに伴い次年度使用が生じた。しかし、当初立てた研究計画にあげた実験を変更せずに引き続き進める。
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Research Products
(10 results)