2020 Fiscal Year Research-status Report
Analysis of the molecular mechanism of immune function decline accompanying diabetes
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20K11541
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
上村 尚美 日本医科大学, 医学部, 准教授 (60283800)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 糖尿病 / 免疫 / ミトコンドリア |
Outline of Annual Research Achievements |
糖尿病では自然免疫や獲得免疫に変化が起こり易感染性となり重症化しやすいことが知られている。易感染性の原因としては、好中球や単球・マクロファージなどの食細胞の機能低下、細胞性免疫反応の低下が多く報告されているが、免疫機能の低下におけるミトコンドリアの役割は未だ不明な部分が多い。本研究課題では、糖尿病モデルマウスを用いて、各種免疫担当細胞における免疫応答時のミトコンドリア機能とエネルギー代謝を測定し、糖尿病に伴う免疫機能の低下の分子メカニズムを明らかにすることを目標としている。当研究室では、酸化還元状態に応答して蛍光が変化する緑色蛍光タンパク質(roGFP)を発現するトランスジェニックマウスを作製し、生体内の活性酸素を測定する生体イメージング技術の開発を行った。roGFPマウスは2系統作製しており、一つは細胞全体の酸化還元状態を測定する系統、もう一つは、roGFPにミトコンドリア局在シグナルを付加しておりミトコンドリアの酸化還元状態を測定する系統である。このマウスを用いて糖尿病モデルマウスのdb/dbマウスと交配し、酸化ストレスが測定可能な糖尿病モデルマウスを作製した。酸化ストレスモニタリング糖尿病マウスを用いて、全身の様々な臓器の酸化還元状態を解析したところ、脾臓やリンパ節が糖尿病モデルマウスにおいて最も変化していることが明らかとなった。そこで、免疫細胞にターゲットを絞り、免疫細胞の表面マーカーを染め分けることにより、各種免疫担当細胞における酸化還元状態を測定した。その結果、糖尿病モデルマウスにおいてはT細胞の酸化還元状態が最も大きく変化していることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
研究代表者が体調を崩して療養を行ったため研究計画が遅延してしまった。また、研究室異動のため、研究実施場所が変更となったことからも遅延が生じてしまった。
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Strategy for Future Research Activity |
糖尿病モデルマウスを用いて免疫細胞を解析していく。糖尿病モデルマウスで最も酸化還元レベルの変化が大きかった免疫細胞の種類を明らかにしたので、その免疫細胞のミトコンドリアの解析を行う。具体的には、その免疫細胞の活性化におけるミトコンドリア機能とエネルギー代謝の変化を解析する。さらに、その変化のうちどの変化が糖尿病と関連しているのかを解析していく。
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Causes of Carryover |
研究代表者の病気や研究室異動のために研究が遅延し残額が生じた。 次年度へ繰り越した研究費は、次年度の研究計画に沿って実験動物、試薬や消耗品の購入に使用する予定である。具体的には、実験動物、細胞培養試薬、PCR関連試薬、フローサイトメーター用試薬、免疫組織炎症関連試薬、ミトコンドリア解析用試薬等の試薬類、および、顕微鏡や画像解析、各実験に使用する消耗品に使用する。
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